中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は802人…上海では区を跨ぐ交通が再開、北京では依然市中に伝播チェーン存在=5/22

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月23日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月22日の中国本土における新規市中感染確認者数は174人(前日から17人増)だったとのこと。内訳は、北京市83人、上海市55人、天津市32人、四川省2人、遼寧省1人、福建省1人。このうち上海市の30人、天津市の20人、北京市の3人、四川省の2人、遼寧省の1人の計56人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは219日連続で、20日連続500人以下となった。

 市中の無症状感染例は628人(前日から39人減)。内訳は、上海市503人、河南省53人、四川省29人、北京市16人、天津市15人、吉林省5人、安徽省3人、江西省2人、浙江省1人、広東省1人。

 無症状を含む新規感染者数は802人で、10日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が558人に上り、全体の69.6%を占めた。上海では8日連続1千人以下を維持。北京市は感染確認数で上海を上回り、無症状との合計は99人に。

 5月22日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は4275人(うち輸入性が199人)で、重症者は193人(輸入性1人)。無症状の患者3万5217人(輸入性454人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は1000人以下を維持。5月17日までに全市で社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)が実現したことを受けて、封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画が示され、22日から区を跨ぐ交通について段階的に再開する新たなステージに入った。22日午前7時から地下鉄4路線(3、6、10、16号線)が運行を再開し、20分間隔で運転したとのこと。上海浦東国際空港におけるカーゴ便の発着回数と貨物量も回復が続き、貨物量については普段の8割程度まで回復したとの情報もある。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。5月22日までの累計感染者数は1500人規模に達した。市内では依然としてクラスター及び社会面(隔離対象ではない一般市中)におけるPCRを検査を通じたスクリーニングで陽性者が出現する状況。朝陽区、豊台区、房山区、順義区、海淀区に続き、新たに石景山区でも基本的に在宅勤務とする措置が講じらたという。海淀区では23日から一部の地下鉄駅の全体または特定の出入口が閉鎖されるとのこと。市当局は22日夕方の会見において、迅速に的確な防疫措置を講じることで、伝播チェーンの寸断に全力で取り組む姿勢を示した。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、4月22日までに省内全域が低リスク地域となった。ただし、以降に広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現。5月22日に湛江市が低リスクへ指定替えとなり、約1ヶ月ぶりに省内全域が低リスク地域に復帰した。

 マカオ特別行政区では5月22日まで224日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月22日までの累計は約119.8万人(無症状含む)、死亡者数は9157人。22日単日では237人(輸入性25人含む)で、2日ぶりに増加となったが、29日連続で500人以下を維持した。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。一方で、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続く中、今後のリバウンドの有無に注目される。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  3.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  4.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun