マカオ、2022年4月のホテル客室稼働率が2割台に…前年同月の半数=地元ステイケーション客が下支え

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)はコロナ直前の2019年には延べ(以下同)3940万6181人(延べ、以下同)に上ったが、2020年は対前年85.0%減の589万6848人に急落。2021年は対前年30.7%増の770万5943人まで回復したものの、2019年比では8割超のマイナスで、依然として低迷が続いている。

 インバウンド旅客数が低迷する主要因として、2020年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が維持されていることが挙げられる。ただし、2020年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫での相互往来が免除となり、以降のインバウンド旅客は中国本土からが主に。しかしながら、中国本土では再流行が散発的に出現しており(特に今年に入って以降は多くの地域でより規模の大きい再流行の出現が相次ぐ)、状況に応じて水際措置の調整や移動を制限する措置が講じられる中、インバウンド旅客数はアップダウンを繰り返し、本格的な復調には至っていない。

 今年(2022年)4月のインバウンド旅客数は前月から12.5%増、前年同月から23.7%減となる42万5903人だった。対前月では4ヶ月ぶりのプラスに。一旦強化されていた中国本土との間の水際措置が一部緩和されたことによるもの。1〜4月累計では前年同時期比2.0%減の248万3688人。

 マカオ政府統計調査局は5月26日、今年4月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は29.5%で、前年同月から29.5ポイント(pt)下落、前月からも0.9pt下落だった。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から31.8pt下落の25.7%、4つ星が26.6pt下落の36.1%、3つ星が34.3pt下落の34.2%、2つ星ホテルが3.4pt下落の38.6%、エコノミー宿泊施設が38.8%(※2022年1月の法改正によりカテゴリー調整が生じたため比較対象なし)。なお、5つ星ホテルの供給客室数が5.5%増、4つ星ホテルが7.1%増、3つ星ホテルが横ばい、2つ星ホテルが26.0%増だった点も考慮する必要がある。

 今年4月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から4軒増の121軒、供給客室数は4.9%増の3.88万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒増の33軒で、供給客室数は全体の61.9%を占める2.40万室。

 今年4月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から46.9%減の36.9万人。このうち中国本土からの旅客は59.5%減の24.4万人、一方、ステイケーション需要とみられる地元のマカオ客は55.8%増の9.5万人おり、インバウンド旅客数が低迷する中で稼働率を下支えした。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.1日延びて1.8日。

 今年1〜4月の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から10.5pt下落の38.0%、累計ホテル宿泊客数は18.8%減の174.4万人、平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、昨年通期(1〜12月)の平均ホテル客室稼働率は前年から21.4pt上昇の50.0%、ホテル宿泊者数は71.0%増の662.4万人だった。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区(資料)=2021年5月9日本紙撮影

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