マカオで出現のオミクロンBA.5市中伝播…単日57人増、6/18以降の累計414人に

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。

 今回の流行は、感染力が非常に強いとされるオミクロン変異株派生型の「BA.5」によるものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月28日午前、今回のアウトブレイクに関する各種最新情報を発表。

 28日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は57人(一般市中33人、隔離対象24人)で、6月18日以降の累計414人となった。

 増加数は前日から減少に転じており、一定数が隔離対象の中から発見に至っている。ただし、依然として一般市中での陽性者の出現が続く状況に変わりはない。

 28日午前8時までに隔離検疫の対象とされた人の数は8996人に上るとのこと。内訳は、濃厚接触者が1244人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が6087人、二次濃厚接触者が312人、一般接触者が296人、付き添い人が643人。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。

 目下(27日午前9時から28日午後6時まで)、3回目の全市民PCR検査が実施されている。検査前に迅速抗原検査を各自で行い、結果が陰性の場合のみ会場へ向かい、陽性となった場合は同住者全員が自宅待機し、救急車を呼ぶよう呼びかけが行われている。28日午前8時までに約48.9万人が今回の全市民PCR検査を受け、うち約21万人について結果が陰性と判明したが、混合サンプル(10人分の検体を1本とする方式)13本が陽性だったとのこと。一般市中における伝播チェーンの寸断は実現できていない状況が伺える。当局では、全市民を対象としたスクリーニングは市中における潜在的陽性者の発見に効果的な施策との考えを明らかにしており、今後の実施の有無については今回の検査結果をみて判断するとしている。なお、今回の検査会場では各人に迅速抗原検査キットが5セットずつ配布され、これを活用することも想定に入っているとみられる。

 複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウンの対象とされる場所(ビル及び店舗単位)も次々と出現している。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけた。なお、局地ロックダウン対象場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう求めている。25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に警告を発するようになった。なお、カジノ施設については、局地ロックダウン対象となっているホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続しているが、入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を必須とするなど防疫措置が強化されている。

マカオで展開中の全市民対象PCR検査会場の様子=2022年6月27日(写真:GCS)

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