香港の新型コロナ新規感染確認者数が20日連続4千人超…第5波累計138.5万人に=8/10

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月10日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から561人増の4344人、輸入性は13人減の249人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が113人、隔離検疫ホテルが106人、隔離検疫期間を満了して市中に出た後が30人。10人以上となった国・地域別は、英国(45人)、フィリピン(22人)、インド(19人)、米国(19人)、シンガポール(16人)、タイ(16人)、ネパール(14人)。

 市中と輸入性の合計は前日から548人増の4593人で、20日連続4千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約138.5万人。

 新規死亡報告数は4人で、年齢は61〜87歳。第5波開始以来の累計死亡者数は9341人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は1516人で、このうち新規感染確認が201人とのこと。容体は危篤が23人、深刻が25人など。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月10日までは現状維持が決まっている。

 10日の学校からの陽性報告数は214校の277人で、内訳は生徒211人、教職員66人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は139校。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 8月9日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.1%(1回目の接種完了)、89.7%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。9日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万4916回で、7日移動平均は1万5761回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(77.96%)、70〜79歳(82.26%)、80歳以上(70.07%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

 香港では、海外及び台湾からの入境者に対する検疫措置の緩和が発表済みで、12日から指定ホテルでの隔離検疫期間が3日間(到着日を0日目とする計算)、その後の4日間を医学観察期間となる。医学観察期間中は一部行動制限がかかるものの外出は可能。これに先立ち、すでに到着済みの旅客の隔離検疫期間も短縮となり、9日に約4千人、10日には約9千人がチェックアウトしたという。当局では、輸入性感染例の8割が隔離検疫ホテル滞在3日目までに発見できているとした上、残る2割が検疫期間終了後に感染確認に至るのは想定の範囲内であり、市中に多くの伝播チェーンが存在する中、影響はそれほど大きいものではないとの見方を示した。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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