マカオ、2022年6月のホテル客室稼働率は39.1%…前年同月から6.3pt下落

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)はコロナ直前の2019年には延べ(以下同)3940万6181人(延べ、以下同)に上ったが、2020年は対前年85.0%減の589万6848人に急落。2021年は対前年30.7%増の770万5943人まで回復したものの、2019年比では8割超のマイナスで、依然として低迷が続いている。

 インバウンド旅客数が低迷する主要因として、2020年1月下旬から新型コロナ防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が維持されていることが挙げられる。ただし、2020年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫での相互往来が免除となり、以降のインバウンド旅客は中国本土からが主に。しかしながら、中国本土では再流行が散発的に出現しており(特に今年に入って以降は多くの地域でより規模の大きい再流行の出現が相次ぐ)、状況に応じて水際措置の調整や移動を制限する措置が講じられる中、インバウンド旅客数はアップダウンを繰り返し、本格的な復調には至っていない。さらに、今年6月中旬から7月末にかけてはマカオの市中でオミクロンBA.5の流行が出現し、インバウンド旅客の動向に甚大なマイナス影響が生じた。

 今年(2022年)6月のインバウンド旅客数は前月から36.2%減、前年同月から28.0%減となる38万0671人にとどまった。1〜6月累計でも前年同時期比11.8%減の346万5107人。

 マカオ政府統計調査局は8月15日、今年6月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は39.1%で、前年同月から6.3ポイント(pt)下落、前月からは4.9pt上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から12.2pt下落の31.9%、4つ星が3.8pt下落の48.2%、3つ星が4.2pt上昇の50.8%、2つ星ホテルが18.0pt上昇の54.8%、エコノミー宿泊施設が48.7%(※2022年1月の法改正によりカテゴリー調整が生じたため比較対象なし)。なお、5つ星ホテルの供給客室数が3.3%増、4つ星ホテルが17.3%増、3つ星ホテルが横ばい、2つ星ホテルが30.8%増だった点も考慮する必要がある。一部カテゴリーで稼働率の上昇が見受けられた背景には、水際措置の強化によって越境通勤者のマカオ滞在需要があったとみられる。

 今年6月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から6軒増の121軒、供給客室数は5.5%増の3.72万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒増の33軒で、供給客室数は全体の59.1%を占める2.20万室。

 今年6月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から10.3%減の42.1万人。このうち中国本土からの旅客が11.9%減の31.5万人、地元のマカオ客が5.6%減の7.8万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から横ばいの1.8日。

 今年1〜6月の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から12.8pt下落の37.6%、累計ホテル宿泊客数は22.3%減の262.4万人、平均滞在時間は横ばいの1.8日。

 参考までに、昨年通期(1〜12月)の平均ホテル客室稼働率は前年から21.4pt上昇の50.0%、ホテル宿泊者数は71.0%増の662.4万人だった。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区(資料)=2021年5月9日本紙撮影

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