マカオ、建設中・設計段階のホテルは23軒、約6200室分…2022年3Q

 近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の新口岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続く。コロナ禍でやや遅延は生じているものの、状況に目立った変化はないようにうかがえる。

 マカオ政府土地工務局は10月28日、今年第3四半期(2022年7〜9月)時点で建設中のホテルが12軒、設計段階(5年以上更新のないプロジェクト含まず)のものが11軒あり、供給客室数は前者が4737室分、後者が1459室分に上ることを明らかにした。今年第2四半期と前年同時期との供給客室数を比較すると、建設中のホテルで横ばいと33.93%減、設計段階で15.32%減と21.85%減に。(エリア別内訳は文末のデータ参照)

 マカオ政府統計調査局の資料によれば、今年9月末時点で営業中のホテル数は前年同時期から5軒増の120軒(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として利用中のホテルの客室分は含まず、以下同)、客室供給数は4.8%増の3.74万室となっている。

 目下、新型コロナ防疫対策の一環として水際措置が強化される中、一部ホテルが隔離検疫施設として利用されている。通常とは異なる状況のため、参考のための比較とするが、今年9月末の数字に建設中及び設計段階の数を加えると、将来的にホテル数が143軒、客室供給数が4.36万室で、前者が19.2%増、後者が16.6%増という規模となる。

 マカオのホテル開発をけん引するのがカジノIR運営会社だ。マカオ政府とカジノ運営コンセッションを締結するのは6陣営で、現行コンセッションの満期が2022年12月末に迫っている(※当初の6月26日から延長に)。政府がコンセッションを延長ではなく再入札とする方針を示し、これを跨ぐプロジェクトを計画しにくい状況にあり、設計段階のホテル数に影響した可能性もある。目下、次期コンセッションの入札手続きが進められており、2023年1月から新体制となるため、それまでの間は過渡期となりそうだ。

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、2019年の年間インバウンド旅客数は過去最多の約3940万人、平均客室稼働率は90.8%に上った。

 しかしながら、コロナ禍に見舞われた2020年はインバウンド旅客数が対前年85.0%減の589万6848人(宿泊を伴う旅客の割合は47.9%)に急落し、ホテル客室稼働率も68.0pt下落の22.8%に。2021年についてはインバウンド旅客数が30.7%増の770万5943人、ホテル客室稼働率は前年から21.4pt上昇の50.0%まで回復したものの、2019年比では依然として大幅なマイナスとなっている。今年1〜9月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から24.2%減の436万4105人、平均ホテル客室稼働率は12.9pt下落の37.5%。

 目下、マカオのインバウンド旅客数の大半を隔離検疫免除での相互往来が実現している中国本土からが占めるが、8月下旬以降は外国人の入境制限も段階的に緩和が進んでいる。8月22日からは在中国本土の外国人が事前許可なしでマカオへ入境できる措置がスタート。中国本土に駐在する日本人が隔離検疫免除でマカオを訪れることも可能となった。9月1日からは日本を含む一部の国のパスポートで入境する場合に事前許可獲得が不要となったが、中国本土以外から入境する場合は7日間の隔離検疫を受ける必要がある。よって、今後もしばらくの間はインバウンド旅客は中国本土頼りの状況が続きそうだ。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の夜景(資料)=2020年7月本紙撮影

【資料】
2022年第3四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:9軒 984室
・設計段階:8軒 617室
<タイパ島>
・建設中:1軒 126室
・設計段階:1軒 301室
<コタイ地区>
・建設中:2軒 3627室
・設計段階:1軒 84室
<コロアン島>
・建設中:なし
・設計段階:1軒 457室

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