香港の日系企業を狙った電話詐欺事件の発生続く…領事館が注意喚起

 在香港日本国総領事館では、昨年(2021年)4月から香港の日系企業を狙った詐欺未遂事件が複数件発生していたとして、複数回にわたり一斉メール配信(今回で5回目)を通じて現地在留邦人へ注意喚起を行ってきた。

 同館が11月14日に発出した一斉メールによれば、同館から累次にわたり注意喚起を行なってきたものの、その後も依然として同様の手口による詐欺事件が複数件発生しているという。

 また、同館が把握している最近の電話詐欺の事例からは、まず、当地法人の代表電話番号に日本本社の社長を名乗り電話をかけ、電話受付担当の現地社員から日本人駐在員の財務責任者の携帯電話番号を教えてほしいなどといって財務責任者の携帯電話番号を聞き出し、その後、財務責任者の携帯電話番号に電話(着信番号として日本本社の電話番号が表示される)するなどの新たな特徴が見られ、電話詐欺の手口はより巧妙になってきているとし、詐欺事件の手口と被害防止に向けた取り組み等を周知するとして、下記の内容に注意するとともに、同様の事案が発生した場合、同館及び本社の担当部署に通知するよう呼びかけた。
のこと。

 香港の日系企業を狙った詐欺未遂事案の概要(最近の具体例)は以下の通り。(在香港日本国総領事館2022年11月14日配信メールの内容より)

1 電話詐欺のよくある手口
・日本本社の社長を名乗る人物より電話有り。
・日本本社の電話番号が着信番号として表示される。
・日本語が流暢であるため、電話している人物は日本人と思われる。
・駐在事務所の経理財務責任者が狙われている。
・電話の内容は雑談から始まり、「M&A交渉のため指定の弁護士と連絡をとって、必要額を本日中に指定口座に振り込んでほしい」というもの。
・極秘事案のため、本社への確認のための電話・メールは一切止めてほしいという釘刺し有り。
・当地法人の電話受付担当の現地社員から日本人駐在員の財務責任者の携帯電話番号を聞き出す(自分から電話があったことは誰にも言わないようにと口止め有り)。

2 被害防止に向けた取り組み
・電話で口座振込の指示を受けたら、先ず第三者(社内の担当者、当館、香港警察の詐欺相談ホットライン(連絡先等は下記5参照)など)に相談する。
・自らが把握している連絡先を基にして、電話をかけてきた人物本人又は担当部署に連絡し、事実を確認する(着信番号には架電しない)。
・社員(現地職員を含む)に対して上記電話詐欺の手口等を周知し、防犯意識を高める。

3 電話詐欺の事案例
(1)事案1
日本本社の社長を名乗る人物から同社香港支店財務担当に連絡があったもの。本社社長を名乗る人物からは、香港の状況を聞くような雑談から始まり、今弁護士と一緒にいてこれから重要な話をするから準備はいいか、香港の会社での送金の最終承認者は君で間違いないかとの話があったが、対応者は、本社社長と面識があり,電話をかけてきた人物の声と本社社長の声が違ったこと,また,会話の内容に違和感があったことから,詐欺であることが発覚した。
(2)事案2
日本本社の社長を名乗る人物から同社香港法人責任者宛てに連絡があったもの。
本社社長を名乗る人物からは、本日中に香港の企業に対して振り込みを完了してほしいとの話があったが、会話の内容や唐突な振り込み指示に違和感を覚え、詐欺であることが発覚した。電話をしてきた人物は、日本語を流暢に話し、声は日本本社社長の声と似ていると感じられたとのこと。

4 発生状況(在香港日本国総領事館把握分)
2021年4月~6月: 4件
2021年7月~9月:2件
2021年10月~12月:4件
2022年1月~3月:2件
2022年4月~6月:4件
2022年7月~9月:0件
2022年10月~:2件

5 香港警察の詐欺相談ホットライン
電話番号:18222(緊急の場合:999)
24時間対応(英語、広東語、普通語対応)

在香港日本国総領事館(資料)—本紙撮影

在香港日本国総領事館(資料)—本紙撮影

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