マカオ立法会でタクシー関連法改正案可決…免許取り消し制度の導入など罰則強化で悪質タクシー駆逐へ

近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。

昨年(2018年)通期の違反検挙総数は前年から11.6%増となる6126件。内訳はぼったくりが20.9%増の3846件、乗車拒否が15.1%減の1336件で、検挙数全体の84.6%を占めた。

なお、実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。

悪質タクシー暗躍の背景として、マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約65万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。

また、現行法ではぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000マカオパタカ(日本円換算:約1万3700円)の罰金のみという極めて甘い内容であることも指摘されており、政府が法改正の準備を進めてきた。

マカオ立法会で2月19日、タクシー関連法改正案の審議が行われ、可決された。5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーのライセンスを取り消しとし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約41万1200円)に引き上げること、全車両に録音・録画装置を設置導入することなどが盛り込まれた。なお、プライバシー保護の観点から、録音・録画データは厳重に管理され、争議発生時に必要となった場合に限って、政府交通事務局長あるいは局長から正式に委託を受けた者だけがアクセスできるとした。このほか、いわゆる「おとり捜査」については、交通事務局及び治安警察局の監察人員が非番の際に違反タクシーに遭遇した場合には職務を執行できるが、当該案件の行政処罰及び基礎状の作成には直接関与しないとしている。

法律は公布から90日後に施行される。今回の法改正によって、マカオ名物とも揶揄される悪質タクシーの駆逐が期待される。

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

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