香港の新型コロナ新規感染者数が2日連続500人超…学校関連の陽性報告増、市中の状況反映か=6/6

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態が続き、近日は400〜500人程度に上昇している。

 香港衛生当局が6月6日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から28人増の543人(輸入性42人含む)とのこと。内訳はPC検査経由が211人、迅速抗原検査経由が332人。3日連続増加となり、2日連続で500人超となった。また6日連続で200〜300人水準を上回る状況。第5波開始以来の累計感染者数は約120.2万人。新規の死亡報告数はゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9173人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 また、流行状況の安定を受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、レストランやバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもある。

 ソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和によって、5月19日からバーの営業が再開可能となって以降、バーでのクラスターが相次いで発生する状況。クラスターが発生したのは、いずれも香港島セントラル地区にある4軒(Zentral、Iron Fairies、LINQ、Shuffle)で、これに関連する新たな感染例が6日も31人確認され、累計約270人まで拡大した。

 近日、感染確認例に占める迅速抗原検査経由の陽性報告数の割合が増えているが、偽陽性だけでなく、意図的な虚偽報告もあったとされる。当局は6日夕方の会見で、6月2日の迅速抗原検査経由の陽性報告者約300人分のうち反復検査で陽性と確認されたのは225人にとどまり、残る75人(全体の約25%に相当)は陰性または検体の提供を拒否したとのこと。虚偽報告が行われる背景には、隔離命令を受けたり、回復証明を取得する目的があるとみられる。当局では、オンラインでの迅速抗原検査報告について、すべて反復検査を行うとし、虚偽報告は刑事責任を問われる行為として注意を呼びかけた。

 このほか、6日の学校からの陽性報告数は147校の204人に上り、対面授業再開後の平均水準から急増し、最多となった。これについて当局では、市中における伝播状況を反映したものとの見方を示した。

 なお、昨今の情勢を踏まえ、香港政府は6月中のソーシャルディスタンス措置の追加緩和を見送る方針を明らかにしている。

 6月5日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.2%(1回目の接種完了)、87.4%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。5日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万4373回で、7日移動平均は4万0970回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(74.36%)、70〜79歳(81.12%)、80歳以上(67.76%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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