マカオのカジノ全面禁煙化法案再考求め運営全6社がスクラム=ギャンブラーの流出危惧「喫煙ルーム設置は認めて」

マカオ政府ではカジノフロアの完全禁煙化を含むたばこ規制法案の改正準備を進めている。現在、マカオのカジノでは、VIPルームが分煙、マスゲーミングフロア(平場)は禁煙だが、フロア内に喫煙ルームが設置されている。政府の目指す全面禁煙化とは、VIPルームを禁煙化し、喫煙ルームの設置も認めないとするもの。

目下、マカオのカジノ売上は昨年(2014年)6月から今年5月まで12ヶ月連続で前年割れとなっている。これに伴い、政府歳入のおよそ8割を占めるカジノ税収も大幅減が続き、今年1-5月の財政黒字は前年同期比で「半減」。こういった状況の中、全面禁煙化によりギャンブラーが競合カジノ国へ流出する可能性も指摘されており、カジノが大黒柱のマカオ経済に与えるマイナス影響が懸念されている。

6月16日夜、マカオのカジノ運営ライセンスを保有する全6社が異例の連名によるプレスリリースを配信。内容については独立機関に委託した調査結果を元に、政府のカジノ全面禁煙化案に対して喫煙ルームの設置を認めるよう理解を求めるもの。

カジノ6社は、従業員及び訪問客の健康を十分に重視する考えにおいて、政府の公共エリアにおける禁煙推進策を支持するとした。一方、政府が準備を進めるたばこ規制法案の厳格化に関して、カジノフロア全面禁煙を実施した場合の影響についても慎重に考慮する必要があるとした。

独立機関の調査結果によると、カジノ6社の従業員3万4000人のうち、66%がカジノフロア内の既存喫煙ルームの維持および新設を支持したとしている。調査対象の内訳は81%がカジノ部門、19%がノンゲーミング部門で、喫煙者及び非喫煙者を含むとのこと。

また、訪問客への調査では、マカオのカジノで全面禁煙化が実施された場合、VIPギャンブラーの17%がマカオ渡航回数が減少する回答し、マカオ滞在日数についても24%減少するという。さらに、32%のVIPギャンブラーがカジノフロア内で喫煙可能な他のデスティネーションに渡航先を変更すると回答したという。

カジノ6社では、今回公表した調査結果を元に、カジノフロア内喫煙ルームの維持に対する理解及びカジノ全面禁煙化がマカオ経済にマイナス影響を及ぼすことについて、概ね社会的コンセンサスを得ているとしている。

マカオのカジノ運営6社はアルファベット順に、ギャラクシーエンターテイメントグループ、メルコ・クラウン・エンターテインメント、MGMグランドパラダイス、SJM、ヴェネチアンマカオ、ウィンリゾーツマカオ。

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は9月9日、同局の本部について、同月から段階的にタイパ島北安地区の新本部ビルへ移…
  2.  マカオ招商投資促進局(IPIM)は9月8日、同局と国際熱帯木材機関(ITTO)の主催による「グロ…
  3.  マカオ司法警察局は9月7日、非マカオ籍の男性ギャンブラーへ賭博用途のカネを高利で貸し付けた上、返…
  4.  マカオでは、台風11号(国際名「ヤギ」)の接近による影響で、9月5日午後10時から6日午後2時ま…
  5.  マカオでは、9月5日から6日かけて超大型の台風11号(国際名「ヤギ」)が接近し、激しい風雨に見舞…

ピックアップ記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun