中国人ギャンブラーがマカオ就労ビザ不正取得…往来簡便化目的=ホテルと共謀

マカオは1999年にポルトガルから中国に返還されたが、以降も独自の出入境管理を行っている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、香港マカオ往来通行証と呼ばれる渡航証とビザに相当する渡航許可を取得するのが一般的だが、およそ2〜3ヶ月に1回7日間といったかたちで一定期間内の入境回数や滞在日数などに制限が設けられている。

マカオ司法警察局が2月19日に発表した内容によれば、昨年(2015年)摘発した密航事案について捜査をしている中で、複数の密航者がマカオの労働許可(就労ビザ)取得者に付与される身分証明書(通称ブルーカード)を所持していたことが発覚。その経緯を追っていたところ、マカオ中区の某ホテルが自社に割り当てられた域外労働者向けの労働ビザ配分枠の余剰分を使い、頻繁にマカオを訪れるギャンブラーらの往来簡便化目的で不正に申請、取得したものである疑いが強まったという。

同局は発表前日の午後7時頃、この件に絡み、中国広東省シンセン市出身の自動車パーツ売買業経営者の男(39)をマカオ外港フェリーターミナルから出境しようとした際に拘束。男はホテルが清掃員として当局に申請、取得したブルーカードを所持していたという。

同局の調べで、男は頻繁にマカオへの渡航を繰り返し、また、ホテルに出勤した形跡はなかったという。被疑者は往来簡便化のためにブルーカードを仲介者を通じてホテルに5万香港ドル(日本円換算:約75万円)を支払って「購入」したことを認める供述をしているとのこと。同局は、この男を文書偽造容疑で逮捕し、引き続き仲介者やホテル内部の協力者など、関係者の洗い出しを進めているという。

マカオは中国本土旅客を中心に年間3000万人以上の旅客が訪れるアジア有数の観光都市として知られる。出入境施設の審査場が混雑することも多いが、ブルーカードは自動化ゲートを利用することができ、手続きにかかる時間も少なくて済む。

マカオ司法警察局(資料)—本紙撮影

マカオ司法警察局(資料)—本紙撮影

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