天井崩落事故受け…マカオの世界遺産・聖オーガスチン教会が一般公開中止

5月29日午後、マカオの世界遺産・聖オーガスチン教会で天井の一部(5メートル四方)が崩落する事故が発生した。世界遺産を管轄するマカオ政府文化局(ICM)は同日夜、建物の全面検査及び修繕工事のため、しばらくの間、同教会内部の一般公開を中止する方針を明らかにした。

事故が発生した午後3時頃、メインホールではミサが行われていたという。天井が崩落した部分はメインホール脇の2階部分の非公開エリアにあたり、通常は教会関係者が使用する部屋だったというが、出入りは少なく、幸いにも負傷者はいなかった。ミサ参加者の話では、突然轟音が鳴り響き、ホコリっぽい空気に包まれたという。

その後、4時10分に教会の出入口が閉鎖され、警察によって周囲に規制線が敷かれた。なお、天井崩落現場近くにあった聖母マリア像などについても、教会関係者らが教会外の安全な場所に移動させており、貴重品の物的被害も確認されていないとのこと。

ICMのウェブサイトによれば、聖オーガスティン教会の建物は1874年に大規模改修を経て現在の姿となり、主体構造はレンガ造り、天井部分は木造という。

ICM文化財保護處の陳聰處長は事故原因について、近日の近日の風雨の影響で屋根の木骨部が大量の水分を含んだ状態となり、瓦の重みに耐え切れず崩落したのではないかとの見方を示した。ICMでは文化財建築物について定期検査を実施しているとし、同教会については昨年5月に外壁及び屋根の検査、9月に修繕を行ったばかりだったという。

マカオに30箇所ある世界遺産をめぐっては、今年(2016年)に入って以降、受難が続いている。1月25日に旧城壁の一部が何者かによって黄色い塗料で着色されたほか、2月5日に盧家屋敷が隣接する建物の壁面が崩落した影響で一部破損、2月10日には媽閣廟の正殿にあたる正覚禅林が電気系統のショートによる火災で重大な損傷を受けている。媽閣廟正覚禅林は現在も一般公開中止が続いている。

天井崩落事故直後の世界遺産・聖オーガスチン教会=5月29日(写真:ICM)

天井崩落事故直後の世界遺産・聖オーガスチン教会=5月29日(写真:ICM)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  澳門海關(マカオ税関)は4月28日、各イミグレーション施設で検査体制の強化を図り、違法な運搬活動…
  2.  マカオ政府統計・センサス局が4月26日に公表した資料によれば、今年(2024年)3月の総合消費者…
  3.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  4.  マカオ司法警察局は4月26日、前月(3月)コタイ地区の統合型リゾート(IR)併設カジノ場内にある…
  5.  澳門海關(マカオ税関)は4月26日、世界知的所有権機関(WIPO)が制定した「世界知的財産の日(…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun