マカオの世界遺産・仁慈堂でテナント問題浮上=政府部門が退去方針、オーナーの慈善団体が収入減に直面

マカオ旧市街地の中心にあたるセナド広場に面した場所に建つ白亜の美しい欧風建築として知られる世界遺産・仁慈堂ビル。18世紀中旬に建てられ、増築を経て1905年に現在の姿となった。

仁慈堂ビルのオーナーは16世紀に設立されたというマカオで最も長い歴史を持つ慈善団体、仁慈堂だ。かつてはこのビルが同団体の本部だったが、現在は1階部分にマカオ政府法務局の公証役場(マカオ第一公証署)、2階部分が仁慈堂直営の博物館となっている。

6月14日のマカオ立法会で、マカオ政府が仁慈堂ビル1階部分の公証役場をマカオ半島北部エリアに移転する方針が明らかとなった。マカオの日刊紙澳門日報が6月15日付紙面で報じた記事によれば、仁慈堂サイドは政府による突然の退去決定に驚きを隠せない様子という。

2014年に改定したという仁慈堂がマカオ政府から受け取るテナント料は毎月120万パタカ(日本円換算:約1594万円)に上り、現契約は今年(2016年)末に満期を迎えるものの、延長オプション付きだったとのこと。仁慈堂の財政運営上、テナント料は貴重な収入源だが、世界遺産にも登録されているビルの権威を守るため、宝飾品店や土産店、コスメショップといった民間企業に貸し出すことは希望していないとのことで、政府に契約を延長するよう呼びかけたいという。仁慈堂ビルの周辺にはマカオの一等地にあたり、多くのショップが建ち並ぶ。

ちなみに、仁慈堂ビルに公証役場がオープンしたのは半世紀以上前の1962年、仁慈堂ビルなど30の建築物と広場を含むマカオ歴史市街地区が世界遺産に登録されたのは2005年。

仁慈堂ビル(資料)=マカオ・セナド広場-本紙撮影

仁慈堂ビル(資料)=マカオ・セナド広場-本紙撮影

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