マカオ政府、悪質タクシー撲滅に向け法改正へ…免許取り消し制度の導入など罰則強化で対応

近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。

昨年(2017年)通期の違反検挙総数は前年から32.3%増となる5491件、このうちぼったくりが85.6%の大幅増となる3180件、乗車拒否が11.4%増の1574件で、検挙数全体の87.6%を占めた。

なお、実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。

悪質タクシー暗躍の背景として、マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約65万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。

また、現行法ではぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000パタカ(日本円換算:約1万3300円)の罰金のみという極めて甘い内容であることも指摘されており、政府が法改正の準備を進めてきた。

マカオ政府は4月10日、行政会においてタクシー関連法の改正草案がまとまったとして、記者会見を開催。5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーのライセンスを取り消しとし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約39万9000円)に引き上げること、管轄を交通事務局から治安警察局に移すこと、改正法実施から1年以内に全車両にGPSおよび録音設備を導入することなどが盛り込まれた。

罰則強化によって悪質タクシーの撲滅に期待される。

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

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