2019年マカオ旅行会社調査結果公表…収入9.5%減も利益は21.9%増

 マカオはアジア有数の国際観光都市として知られる。昨年(2019年)のインバウンド旅客数は港珠澳大橋の開通といった追い風もあり、過去最多となる延べ約3940万人に達した。

 マカオ政府統計調査局は9月28日、昨年のマカオの旅行会社に関する調査結果を公表。

 昨年時点で営業中の旅行会社数は前年から3社減の218社、従業員数は運転手に対する需要の高まりによる雇用増を受けて、1.9%増の4614人に。業界全体の総収入は9.5%減の82.9億マカオパタカ(日本円換算:約1098億円)、総支出は11.0%減の77.9億パタカ(約1031億円)。

 団体ツアー参加者及び旅行会社のサービスを利用して域外へ旅行に出かけるマカオ居民が減少したことを受け、旅行会社のホテル客室予約サービス収入は11.2%減の25.9億マカオパタカ(約343億円)、団体ツアー収入は12.6%減の21.7億マカオパタカ(約287億円)、客運チケット収入は14.7%増の15.1億マカオパタカ(約200億円)にとどまった。一方、運転手付きの車両チャーターサービス収入は10.8%増の13.4億マカオパタカ(約177億円)に。

 支出については、購買、サービス、コミッションが主で、前年から14.7%減の60.4億マカオパタカ(約800億円)。内訳は、ホテル客室サービス支払いが10.9%減の24.7億マカオパタカ(約327億円)、団体ツアーが17.1%減の17.3億マカオパタカ(約229億円)、客運チケット費用が18.0%減の14.6億マカオパタカ(約193億円)。自動車レンタル代が12.9%増の4.5億マカオパタカ(約60億円)となったことで、営業費用は4.6%増の8.9億マカオパタカ(約118億円)に。このほか、メンテナンス費用が30.1%減の4027万マカオパタカ(約5.3億円)、マーケティング・プロモーション費用が38.3%減の1225万マカオパタカ(約1.6億円)の減少幅が大きかった。従業員支出は4.8%増の8.6億マカオパタカ(約114億円)、このうち現金報酬が5.2%増の8.2億マカオパタカ(約109億円)で、全体の95%を占めた。

マカオ歴史市街地区にあるモンテの砦から望む町並み(資料)=2020年4月本紙撮影

 規模別にみると、従業員50人以上の旅行会社は前年から1社減の19社あり、収入は6.8%減の29.2億マカオパタカ(約387億円)。主な収入源は運転手付きの車両チャーターサービスの9.7億マカオパタカ(約128億円)及びホテル客室予約サービスの6.6億マカオパタカ(約87億円)、団体旅行の6.1億マカオパタカ(約81億円)。従業員数30〜49人の旅行会社は1社増の14社で、収入は0.8%減の20.2億マカオパタカ(約267億円)、このうち60.8%にあたる12.3億マカオパタカ(約163億円)がホテル客室予約サービスによるもの。

 従業員数10〜29人の旅行会社は7社増の85社で、団体ツアーによる収入がが12.9億マカオパタカ(約171億円)及び客運チケットサービスが5.9億マカオパタカ(約78億円)がいずれも下落したため、この規模の旅行会社の収入は11.8%減の25.3億マカオパタカ(約335億円)に。従業員数10人以下の旅行会社は10社減の100社で、収入は27.3%減の8.2億マカオパタカ(約109億円)、主な内訳はホテル客室予約サービスの3.3億マカオパタカ(約44億円)及び客運チケットの2.3億マカオパタカ(約30億円)で、それぞれ23.7%、33.2%の減だった。

 旅行会社の収入は前年から減少したが、購買、サービス、コミッション支出も大幅に圧縮されており、業界の経済貢献を示す付加価値総額は10.6%増の13.7億マカオパタカ(約181億円)、利益は21.9%増の5.1億マカオパタカ(約68億円)、利益率は1.6ポイント上昇の6.2%、経費利益率は1.8ポイント上昇の6.6%となった。なお、一部の旅行会社で昨年自動車、店舗の追加が減少したため、固定資本形成総額は4.0%減の1.9億マカオパタカ(約25億円)に。

 今年に入って以降、コロナ禍で各国・地域が水際措置を強化して臨んでおり、マカオの旅行会社は大きな逆風にさらされている。

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