香港の新型コロナ新規感染者数が4日ぶり500人超に…バー4軒で発生のクラスターが240人まで拡大=6/5

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態が続き、近日は400〜500人程度に上昇している。

 香港衛生当局が6月5日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から69人増の515人(輸入性42人含む)とのこと。内訳はPC検査経由が136人、迅速抗原検査経由が379人。2日連続で増加となり、4日ぶりに500人超となった。また5日連続で200〜300人水準を上回る状況。第5波開始以来の累計感染者数は約120.2万人。新規の死亡報告数は4人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9173人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 また、流行状況の安定を受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、レストランやバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもある。

 ソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和によって、5月19日からバーの営業が再開可能となって以降、バーでのクラスターが相次いで発生する状況。クラスターが発生したのは、いずれも香港島セントラル地区にある4軒(Zentral、Iron Fairies、LINQ、Shuffle)で、これに関連する感染者が5日も数多く確認され、累計240人まで拡大した。

 近日、感染確認例に占める迅速抗原検査経由の陽性報告数の割合が増えているが、偽陽性だけでなく、意図的な虚偽報告もあったとされる。当局は5日夕方の会見で、6月2日の迅速抗原検査経由の陽性報告者のうち14%に相当する44人が反復検査で陰性だったことを明らかにした。直近7日間平均では約20%に上ったとのこと。こういったケースもあり、リバウンドの有無についてしばらく様子見が必要とみられる。

 目下、端午節の連休中で、ソーシャルディスタンス措置が緩和されたことから、人流や会合の機会が増えると予想され、連休明けの感染状況に注目される。

 6月4日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.2%(1回目の接種完了)、87.3%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。4日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万7540回で、7日移動平均は4万2942回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(74.27%)、70〜79歳(81.11%)、80歳以上(67.74%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月30日、中国本土の警察当局と連携し、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニン…
  2.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2024年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオでは例年通り5月1日に海開きを迎えた。10月31日までがマカオの遊泳シーズンとなる。 …
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun