香港の新型コロナ新規感染確認者数が4日ぶり1万人以下に…初のサル痘感染例出現=9/6

 人口約730万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 香港衛生当局が9月6日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から682人減の9187人、輸入性は34人増の186人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から648人減の9373人で、4日ぶりに1万人以下となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約158.9万人。

 新規死亡報告数は9人で、年齢は27〜99歳。このうち6人が3回目のワクチン接種を受けていなかったという。第5波開始以来の累計死亡者数は9528人。なお、27歳の死亡例については長期にわたって寝たきりで、てんかんを患っており、新型コロナウイルスが直接の死因となったかについては未確定という。

 このところの目立ったリバウンドの出現要因として、主流株がオミクロンBA.5へ置き換わりつつあることが指摘されている。

 感染者数の増と比例して入院患者数も増加の一途にあり、8月下旬からランタオ島のアジアワールドエキスポ内の臨時病院が再稼働したほか、公立病院における病床調整プランも発動され、コロナ患者用の病床確保が進む。その一方で、緊急性を要しない医療サービスに影響が及んでいる。院内感染や医療従事者の感染も相次いでおり、6日の会見では、東区医院の心臓科の医師7人が感染したことが明かされた。社交活動を共にすることはなかったが、院内の給湯室を共用していたとのこと。

 香港では2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。2〜3月にかけてのピーク後に、水際措置及びソーシャルディスタンス措置の段階的緩和があった。リバウンド発生を受けて、ソーシャルディスタンス措置については追加緩和の見合わせが続いている。

 9月6日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.6%(1回目の接種完了)、90.8%(2回目の接種完了)、73.4%(3回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。6日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万8071回で、7日移動平均は2万9199回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3歳以下(13.32%)、3〜11歳(81.32%)、70〜79歳(82.7%)、80歳以上(70.69%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

 このほか、香港で初めてとなるサル痘の感染確認例(輸入性)が出現したことも発表された。患者は香港人の30歳の男性で、米国及びカナダ滞在歴がり、9月5日にフィリピンから香港へ到着。隔離検疫ホテル滞在中に体調不良を訴え、病院へ搬送され、現在は隔離治療を受けており、容体は安定しているとのこと。香港衛生当局によれば、患者は潜伏期間中に高リスクな活動をしたが、サル痘患者との接触はなかったと説明したとのこと。香港到着後の隔離検疫初日に感染確認されたことから、一般市中への伝播リスクは極めて低く、濃厚接触者の特定はないし、患者と接触した航空会社クルーについては健康状況に留意が必要とした。当局はサル痘に対する警戒レベルを引き上げる考えを示し、ワクチンは9月中に到着予定で、濃厚接触者及び高リスク人群への接種を想定しているという。

香港国際空港(資料)-本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局(SSM)は6月19日、デングウイルスによる感染症「デング熱」伝播の高リスクシー…
  2.  マカオ特別行政区政府旅遊局(MGTO)は6月19日夕方、イスラエルとイランの安全情勢を鑑み、マカ…
  3.  澳門海關(マカオ税関)は6月18日、違法な運搬活動(いわゆる運び屋行為)の趨勢に関する情報収集・…
  4.  マカオ治安警察局は6月18日、マカオ半島の中区にあるスーパーマーケットで少なくとも二度にわたって…
  5.  マカオの社会福祉行政を担当するマカオ政府社会工作局(IAS)は6月18日、同日から10月17日ま…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  4.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  5.  4月30日、マカオ立法会と政府との間で2025年施政方針の運輸・工務領域における政策討論が行われ…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年6月号
(vol.144)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun