建設中のマカオLRT東線、關閘から先への延伸に現実味

 マカオには、軌道系大量輸送機関として新交通システムの「マカオLRT(澳門輕軌)」が存在する。

 現在、タイパフェリーターミナル駅と媽閣駅を結ぶ全長約12.5キロメートル、全12駅のタイパ線が営業運転を行っているほか、石排湾線、横琴線、東線の建設工事が進んでいる。

 このうち、東線は今年(2023年)8月に着工したばかり。同線はマカオ半島北端にある主要な陸路のイミグレーション施設「關閘」付近からマカオ半島の北東沿岸、マカオ半島東側の沖合に造成中の埋立地「新城A区」を経由して、海を越えてタイパ島北東部沖に造成中の埋立地「新城E区」を結び、路線長は約7.7キロ、設置駅数は6駅で、全線・全駅を地下に設置。タイパ島側の終点駅の先に線路を伸ばし、タイパフェリーターミナル駅でタイパ線と接続する計画で、2028年完成予定となっている。

マカオLRT東線の關閘エリア「ES1駅」の「V字ゾーン」に絡む計画比較(図版:マカオ政府公共建設局の資料より抜粋)

 12月29日、東線に関する新たな動きがあった。關閘エリア周辺には中国本土(広東省珠海市)とのボーダーが入り組んだ形で存在しているが、起点となる關閘イミグレーション最寄駅(仮称:ES1駅)建設予定地の真横にあるV字型のゾーン(陸地及び海域で構成)について、同日の中国全人代でマカオに管轄権を与える決定がなされた。

 上の図版(マカオ政府公共建設局が公表したマカオLRT東線建設工事紹介資料より抜粋)の①と②は、①がV字ゾーンを避けた当初計画、②がV字ゾーンを活用したオプション案の比較。①の場合は行き止まりとなるが、②では西方向への延伸余地を残すことが可能となり、また關閘イミグレーション施設との連絡通路も①より65メートル短縮できるとしている。延伸先については、關閘と並ぶ主要な陸路のイミグレーション施設「青茂口岸」のある青洲エリアが想定されている。

 マカオ特別行政区の賀一誠行政長官は今回の決定を受け、マカオLRT東線が關閘と青茂の両閘イミグレーション施設を結ぶ条件が整い、マカオ半島北区の交通問題の解決、居民に外出利便性に大きく作用すると期待を示し、マカオ特別行政区政府として基礎インフラ建設を加速させるとともに、東線の経済社会効率の向上により、マカオと中国本土の相互連携を強めていきたいとし、中国中央のマカオへの支持に心から感謝するとのコメントを発出した。

マカオLRT東線のルートイメージ(図版:Macao Light Rapid Transit社公式HPより)

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