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マカオ概況

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

マカオ(澳門)は香港と同じく中国の特別行政区のひとつです。中国の南部(華南)に位置しており、広東省・珠海市とは陸続き、また2018年に港珠澳大橋が開通したことで香港との間も陸路での直結が実現しました。広東省の広州市や深圳市をはじめとした主要都市及び香港が1時間圏内の好立地にあります。近年、中国が広東省9市+香港・マカオの一体的経済圏構想「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア/GBA)」を国家プロジェクトとして推進する中、その一角を占めるマカオについても内外からの注目度が高まっている状況です。

マカオの面積は東京の山手線の内側の半分にあたる約33㎢、人口は約67万人で、人口密度は東京や香港を上回る2万人/㎢超に上り、世界最高レベルとなっています。これに年間約4000万人のインバウンド旅客(8割超が中国本土から)が加わり、混雑が常態化しています。

産業構造は第三次産業が9割超を占めています。世界最大規模を誇るゲーミング(カジノ)業が牽引するツーリズム及びホテルやリテールといった周辺産業が主ですが、政府は近年、ゲーミング業への過度な依存から脱却の脱却を図るため産業多角化を積極的に推進するとともに、国際ツーリズム・レジャーセンター化を目指すための各種施策を講じています。なお、香港と同様、低税率の自由貿易港となっており、ヒト・モノ・カネの移動の自由度は極めて高いといえます。ここまで日系企業の進出例は少ないですが、米国系の統合型リゾート運営企業をはじめ、香港系のリテール企業等、比較的規模の大きい海外資本の進出も進んでいます。

カジノ税という特殊かつ膨大な財源を擁するため、マカオ居民(*B.I.R.=マカオ居民IDカード保有者を指す)は税制及び福祉面でさまざまなメリットを享受できており、生活水準は比較的高いといえます。対日イメージも良好で、日本製品や日本ブランドへの信頼は高く、食文化やポップカルチャーも浸透。日本は最も人気のある海外旅行先のひとつとなっています。

下記にマカオの主な社会・経済指標をまとめます。

面積33.3㎢ *2022年
人口673,600人 *2023年1Q末
人口密度20,300人/㎢ *2022年
公用語中国語(書き言葉:繁体字/話し言葉:広東語)及びポルトガル語
英語は第3の公用語扱い
通貨MOP/澳門幣(マカオパタカ)
※HKD(香港ドル)を通じてUSD(米ドル)と連動
※HKD1=MOP1.03(固定)
※MOP1=約17円
1人あたり平均GDPMOP645,438(=USD79,977) *2019年
失業率
/マカオ居民に限った場合
3.1% *2023年1Q
3.9%
月給中位数
/マカオ居民に限った場合
MOP17,000 *2023年1Q
MOP20,000
世帯数
/1世帯あたり平均構成人数
202,727世帯 *2021年センサス
/2.98人
持ち家居住世帯比率73.4% *2021年センサス
住宅価格相場
(実用面積1平米あたり平均)
MOP104,865 *2022年4Q
家賃相場
(実用面積1平米あたり平均)
住宅:MOP130
商業テナント:MOP488
オフィス:MOP310 *すべて2022年4Q

潜在市場としてのマカオ

よく「香港マカオ」とセットで語られがちですが、面積と人口だけで比較しても香港がマカオの約10倍の規模を誇ります。国際ビジネス都市であり、古くから日本企業の進出先として確固たる地位を築き、在留邦人の数も多い香港と比較して、マカオはカジノを中心としたツーリズム主体の観光都市に過ぎず、日本企業、在留邦人数も面積・人口差以上に少ないのが実情です。マカオには日本の公的機関の出先もありません(香港を拠点にマカオもカバーしている状況)。

マカオでは生活圏と観光地が近接し、狭い土地に密集して人が暮らし、行き交っています。そこにいるのは比較的親日で、可処分所得の高い人たちです。ローカルとインバウンドの双方を同時にカバーできるため、商圏としての効率は良いとされています。香港のような日系同士でのパイの奪い合いは生じにくく、マカオの人口(香港の約1/10)を考慮すれば、少なくとも香港の1割+αが狙える市場といえるでしょう。

日本企業のマカオ進出が進まない要因として、先行事例が少なく、日本企業に特化した進出サポート体制が整っていないことも指摘されます。

マカオでビジネスをスタートする上での手続きはもちろん、税制面等でのメリットも、実は香港と大差はありません。役所の対応、そしてコンサーバティブで地縁・血縁が強いとされたビジネス界も経済発展と共にスマートとなり、現在では透明性が高くフェアなビジネス環境になっているように感じます。マカオ側での日系の進出に期待も高まっており、パートナー候補も見つけやすい状況といえます。

弊社では日系のマカオ進出をサポートするための情報やアドバイスを提供するほか、会社設立、ライセンス申請、視察アレンジ、澳門日本商会との連携によるローカルパートナー候補とのマッチング等の各種ビジネスサービスも手がけており、ビジネスサービスメニューはこちらのページにてご案内しています。マカオ進出またはマカオでの業務をご検討の際には、こちらのフォームよりお気軽にご連絡ください。

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