マカオカジノ大手、テクニカル・デフォルトに直面=ゲーミングテーブル不足で

マカオ・コタイ地区で今週(10月27日)に開業を予定している大型IR(統合型リゾート)スタジオ・シティ。およそ32億米ドル(日本円換算:約3900億円)という巨費を投じたプロジェクトで、27日には世界的歌姫マライア・キャリーら豪華スターを招いたコンサートなどの派手な開幕式が予定されている。

華々しいオープニングの裏で、実は運営会社が頭を悩ませている案件があるという。IRといえば、核となるのがカジノ施設だ。マカオでは、カジノフロアに配置するゲーミングテーブル数がカジノ監理当局によるコントロール下にあり、必ずしも運営会社の希望通りに割り当てを受けることができるわけではない。先週、当局はスタジオ・シティに対する新規ゲーミングテーブル割り当てについて、開業時に200台、来年(2016年)1月1日に50台の計250台とすることを明らかにした。運営会社は早い段階から400台を希望していたことから、150台不足していることになる。

マカオの月刊英字経済誌マカオビジネスが10月23日付電子版でブルームバーグの報道を引用して伝えた内容によると、スタジオ・シティの運営母体にあたるマカオのカジノ大手、メルコ・クラウン・エンターテイメント(以下、MCE)が建設資金として14億米ドル(約1700億円)の借り入れを行った際、来秋までにゲーミングテーブル400台の稼働という条件が含まれていたという。MCEはテクニカル・デフォルト(誓約条件に反するデフォルト)に直面したことを受け、債権者と再交渉に臨まなくてはならないとのこと。

スタジオ・シティはハリウッド映画をテーマとした大型IRで、カジノ、ホテル、ショッピングモール、多目的アリーナのほか、世界初の8の字型観覧車「ゴールデン・リール」、バットマンをテーマにしたアトラクション「バットマン・ダーク・フライト」、世界的イリュージョニストとして知られるフランツ・ハラレー氏プロデュースの常設型マジックアトラクション「ザ・ハウス・オブ・マジック」など、これまでマカオに不足していたファミリー向けレジャー・エンターテイメント要素を多数盛り込んでいるのが特徴。

マカオカジノ監理当局の最新データによると、今年第2四半期末時点のマカオのゲーミングテーブル数は5814台。なお、マカオ政府は2013年から10年間、毎年平均のカジノテーブル台数の増加率を3%以内とし、認可にあたってノンゲーミング(非カジノ要素)に対する投資規模を審査基準とする原則を打ち出している。

スタジオ・シティのカジノフロア(資料)=2015年8月、工事中の現場にて本紙撮影

スタジオ・シティのカジノフロア(資料)=2015年8月、工事中の現場にて本紙撮影

スタジオ・シティ外観イメージ=マカオ・コタイ地区—本紙撮影

スタジオ・シティ外観イメージ=マカオ・コタイ地区—本紙撮影

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