香港の国慶節花火大会後、PM2.5など有害物質濃度急上昇=無風下での実施が原因か

中国の建国記念日にあたる10月1日午後9時から、香港のビクトリアハーバーを舞台に23分間の盛大な花火大会が実施された。しかし、観客からはイベント終了後も空には煙が残ったまま、繁華街でも臭気が漂っていたことから、環境への影響を指摘する声も上がっていたという。

香港の日刊紙アップルデイリーが10月3日付紙面で報じた内容によると、香港政府環境保護署の観測データで、ビクトリアハーバーに面した香港島の中心街、セントラル(中環)地区では、酸性雨や呼吸器系障害を引き起こすとされる二酸化硫黄の濃度が午後7時時点で8.2μg/㎥だったが、午後10時の花火打ち上げ後に約4倍となる38.1μg/㎥にまで急上昇していたことがわかったという。

また、健康への影響が懸念されるPM2.5(微小粒子状物質)やPM10の濃度についても軒並み急上昇となった。具体的な濃度は、PM2.5が午後7時で29.6μg/㎥、打ち上げ開始の9時で40.5μg/㎥、11時で90.9μg/㎥。PM10については、7時で40.9μg/㎥、9時で50.5μg/㎥、11時で103μg/㎥。いずれも11時時点で打ち上げ開始時の約2倍に相当する。

なお、花火大会当夜は風がほとんどなかったとされる。香港科技大学環境学部の劉啓漢教授は同紙の取材に対し、「無風下での花火大会の実施は汚染の悪化につながることから、天候に応じて花火の打ち上げ是非を検討すべき」と回答したとのこと。一方、花火製作会社は、「観測データには自動車や船舶などから排出される汚染物質も含まれることから、一概に花火だけが原因ではない」とした上で、「どんな大型イベントでも少なからず環境に影響を与えるが、経済効果や賑わいをもたらす」とコメントしたという。

今回の国慶節花火大会では2万3888発の花火が打ち上げられ、使用火薬量は4.5トン、予算は800万香港ドル(日本円換算:約1億4200万円)超だったとのこと。

香港・ビクトリアハーバーで開催された国慶節花火大会を鑑賞する香港特別行政区の梁振英行政長官夫妻=10月1日(写真:news.gov.hk)

香港・ビクトリアハーバーで開催された国慶節花火大会を鑑賞する香港特別行政区の梁振英行政長官夫妻=10月1日(写真:news.gov.hk)

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