マカオの不動産開発業者からの収賄容疑、米司法当局が元国連総会議長を逮捕

マカオの政府系放送局TDMは10月7日未明、米メディアの報道を引用し、6日に米司法当局が元国連総会議長で中米アンティグア・バーブーダ出身のジョン・アッシュ氏を収賄容疑で逮捕したことに関し、贈賄側としてマカオの不動産ディベロッパーの呉立勝氏とその秘書、仲介役のドミニカ共和国の国連次席大使が追訴されたと伝えた。

呉立勝氏はマカオに本拠地を置く不動産ディベロッパー大手、新建業集團の会長兼CEOを務めるほか、全国政治協商会議マカオ地区委員の立場にもある人物。新建業集團はマカオの商業ビル及びマンション開発、マカオと広東省・珠海市の横琴新区を結ぶ蓮花大橋の建設プロジェクトなどを手がけたことで知られる。

アッシュ氏は国連大使だった2011年頃から呉氏側から賄賂を受け取り、見返りとしてマカオのコンベンション施設建設に対する国連の支援や、同プロジェクトを呉氏が会長を務める企業に担当させるよう便宜を図ったなどの疑いが持たれているとのこと。賄賂の総額はアンティグア・バーブーダにおける投資案件に絡むものも含めて130万米ドル(日本円換算:約1億5600万円)に上るという。

なお、呉氏は先月(9月)20日にプライベートジェットでニューヨークに到着した際、2013年から2015年にわたって450万米ドル(約5億4000万円)の資金を不正に米国に持ち込んだ疑いで秘書とともに米司法当局に逮捕されていた。

マカオ政府報道官は10月7日午後、すでに司法手続き中の案件のためこの件に関してコメントを控えるとの声明を発表。また、報道されているコンベンション施設についてはいかなる資料も持っていないとした。

呉立勝氏が会長兼CEOを務める新建業集團の本社が入るビル(資料)=マカオ・佛山街ー本紙撮影

呉立勝氏が会長兼CEOを務める新建業集團の本社が入るビル(資料)=マカオ・佛山街ー本紙撮影

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