マカオ、禁煙ゾーン拡大と罰金引き上げ含むの新禁煙法改正から5ヶ月間の累計違反件数2285件…違反場所はカジノが最多

世界的な健康意識の高まりを受け、マカオでは屋内公共エリア及び公園などの大半を禁煙とする「新禁煙法(喫煙予防及びコントロール法)」が2012年元旦から施行され、市内ではマカオ政府衛生局(SSM)の法執行官(禁煙Gメン)が昼夜を問わず巡回取り締まりを行っている。

今年(2018年)元日から改正法が施行となり、マカオ国際空港とカジノに設置された喫煙所を除く屋内パブリックエリアを全面禁煙としたほか、屋外に関してもバス停・タクシー乗り場の周囲10メートルを新たに禁煙ゾーンに設定。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、新聞スタンド等の店頭におけるたばこ製品の公開陳列が禁止となり、禁煙ゾーンにおける違反喫煙に対する罰金が従来の2.5倍に相当する1500パタカ(日本円換算:約2万円)になるなど、各種罰金が大幅に引き上げられた。

SSMが6月5日に発出したプレスリリースによれば、新禁煙法が施行された2012年元旦から今年(2018年)5月末日までの禁煙Gメンによる巡回場所は延べ176万7788箇所(1日平均延べ754箇所)、違反人数は延べ4万6984人に達したといい、愛煙家に対してあらためて法律を遵守するよう呼びかけた。

改正法施行後の今年1月1日から5月31日の期間に限ると、禁煙Gメンによる巡回場所は前年同時期から9690箇所増の延べ15万0267箇所(1日平均延べ995箇所)、累計違反件数は2285件だった。違反の内訳は、禁煙ゾーンでの違法喫煙行為が2278件(前年同期比1106人減)、基準を満たさないパッケージの商品が5件。このうち、違反者が最も多かったのがカジノで、全体の29.1%にあたる665件、新たに禁煙ゾーンに設定されたバス停の周囲10メートルでの違反件数は10.3%にあたる235件だった。

違法喫煙行為の違反者のうち、男性が全体の93.0%を占める2118人、女性が7.0%の160人、海外(中国本土・香港・台湾含む)からの旅客が63.3%の1441人、マカオ居民(マカオ居留権保有者)が34.0%の774人、マカオで就労する海外からの労働者が2.8%の63人。取り締まりにあたって警察の協力を必要とした事案が70件あった。罰金の納付率は81.7%。

禁煙ゾーンを巡回するSSMの「禁煙Gメン」たち(写真:SSM)

禁煙ゾーンを巡回するSSMの「禁煙Gメン」たち(写真:SSM)

マカオのカジノ施設は、2014年10月6日からハイローラーと呼ばれる大口ギャンブラーを対象としたVIPルームが分煙、平場にあたるマスゲーミングフロアが全面禁煙となった。マスゲーミングフロアには喫煙ルームが設置されている。

カジノフロア内については、SSMとカジノ監理当局にあたるDICJが合同で取り締まりを行っている。今年1月1日から5月31日までの2部局による合同巡回場所は前年の同時期から109箇所増となる延べ368箇所、違法喫煙行為は同401件増の665件あった。違反者は男性が全体の94.4%を占める628人、女性が5.6%の37人、海外からの旅客が88.3%の587人、マカオ居民が11.7%の78人。

マカオ政府はVIPルームについても、マスゲーミングフロア同様の喫煙ルームを設置するかたちでの禁煙化を実施する予定。このほか、増税によるたばこ製品の値上げや免税持ち込み範囲の縮小などの施策も相次いで講じられおり、愛煙家を取り巻く環境は厳しさを増している。

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月18日、架空の詐欺被害をでっち上げたとしてマカオを訪れていた中国人(中国本…
  2.  マカオ政府衛生局は4月19日夜、「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バルニフィ…
  3.  マカオ政府統計調査局は4月19日、今年(2024年)2月の飲食業と小売業に関する景気調査結果を公…
  4.  4月19日付のマカオ特別政府区公報に「不動産需要管理に関する税制措置の撤廃」法が掲載され、翌日(…
  5.  マカオ・コタイ地区にあるギャラクシーアリーナで「ITTF(国際卓球連盟)男女ワールドカップマカオ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年4月号
(vol.130)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun