18年9月のマカオの悪質タクシー違反検挙数402件…前月から13%増=ぼったくりと乗車拒否が8割占める

近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。

マカオ治安警察局は10月9日、今年(2018年)9月のタクシー及びいわゆる白タクに対する取り締まり状況を公表した。

今年9月のタクシーの違反検挙総数は前月から13.2%増の402件。ぼったくりが全体の57%にあたる230件、乗車拒否が同22%の87件で、全体の79%を占めた。残る21%は駐停車禁止場所での乗降などのその他違反。

ちなみに、昨年通期の違反検挙総数は前年から32.3%増となる5491件。内訳はぼったくりが85.6%の大幅増となる3180件、乗車拒否が11.4%増の1574件で、検挙数全体の87.6%を占めた。

なお、実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。

9月の違反タクシー検挙数が繁忙期の8月を上回った要因のひとつとして、大型台風の襲来により公共交通機関が長時間にわたってストップしたことに乗じた暗躍が挙げられる。この際、警察も取り締まりを強化して臨んだ。

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局による違反タクシーに対する取り締まりの様子(資料)=2017年11月、マカオ半島北京街(写真:マカオ治安警察局)

マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約65万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。

現行法ではぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000マカオパタカ(日本円換算:約1万4000円)の罰金のみという極めて甘い内容であることも指摘されており、マカオ政府が法改正の準備を進めてきた。マカオ政府は4月10日、5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーのライセンスを取り消しとし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約42万円)に引き上げること、管轄を交通事務局から治安警察局に移すこと、改正法実施から1年以内に全車両にGPSおよび録音設備を導入することなどを盛り込んだ改正案をまとめたと発表。6月末には24時間体制で警察官が応対する悪質タクシー通報ホットラインが開設されたばかり。

また、今年9月の白タクの検挙総数は19件だった。マカオでは2015年10月に世界各地でスマートフォン向け配車サービスを展開する「Uber(ウーバー)」がサービスを開始したが、警察及び交通事務局が白タクにあたるとの見解を示して取り締まりの対象としていた。その後、Uberは昨年7月21日をもってマカオでのサービス提供を停止し、白タク検挙件数も激減した。

マカオ治安警察局が開設した悪質タクシー通報ホットラインの利用ガイド(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局が開設した悪質タクシー通報ホットラインの利用ガイド(写真:マカオ治安警察局)

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