マカオ、68日連続で新型コロナ新規感染確認なし…入院患者もゼロ=観光業界支援策としてローカル対象の域内観光プロモーションプラン発表

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月15日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近で新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は4月8日のことで、68日連続で新規感染確認ゼロとなり、2〜3月中旬にかけて達成した「40日連続」の記録を大きく更新中。輸入関連性症例に限ると79日連続ゼロだった。

 また、これまでの累計感染確認者数(入院)は45人(輸入性症例43人、輸入関連性症例2人)で、5月19日までに全員が治癒し退院済み。死亡例もゼロを達成している。

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。市中感染も発生していない。

 マカオの新型コロナ指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足した状態で乗り切ることに成功。院内感染例もなかった。

 マカオで新型コロナ入院患者がゼロ状態となったのは3月7〜14日以来の2度目のこと。前回は武漢からの旅客らの退院と流行が欧米やアジア各地へ拡大したことを受けての数千人規模の帰国ラッシュの狭間にあたる時期だった。

 なお、マカオ政府は在外マカオ人の帰国希望に応えるため、今月17日から7月16日にかけてマカオと香港国際空港を結ぶ高速船を特別運航することを決定。帰国希望者の滞在先には、新型コロナ高流行エリアも含まれることから、衛生局では3月下旬から4月上旬にかけての帰国ラッシュ時と同様、帰国者数の一定の割合で輸入例が確認されることもあり得るとししている。ただし、帰国者は現行の措置に沿ってマカオ到着後はイミグレーションから直接隔離検疫へ移送されるため、市中感染につながるリスクは低いとみられる。香港国際空港からマカオへ向かう特別便は事前登録を済ませたマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)のみ搭乗可、マカオから香港国際空港へ向かうものについては香港国際空港発のフライトで現居地へ帰還するマカオ在留外国人用となる。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年6月15日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられている。海外からの輸入症例を阻止するため、3月後半以降、水際対策が一層強化され、現在まで維持されている。市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった民生、経済支援対策も実施している。

 このほか、インバウンド旅客の激減で苦境が続く観光業界支援策の一環として、ローカル(マカオ居民IDカード保有者)向けの域内観光プロモーション計画が発表された。地域の歴史や自然、産業について学ぶ「コミュニティコース」6ツアー、統合型リゾート(IR)併設のアクティビティやレジャー施設を体験する「レジャーコース」10ツアーを用意(いずれも半日程度で、食事、ガイド、施設入場・入館料等、保険料込み)し、市民1人の1ツアーあたりのツアー参加費用のうち280マカオパタカ(日本円換算:約3800円)までを政府系基金が補助するというもの。プロモーション期間は3ヶ月間、補助の上限は1人あたり560マカオパタカ(約5600円)といい、最大2つのツアーに参加できることになる。政府旅遊局では、マカオの常住人口約69万人のうちマカオ居民IDカード保有者は約50万人とし、仮にその全員が補助の上限を使用したとした場合、総予算は2.8億マカオパタカ(約38億円)に上るほか、事務所、システム開発、ガイドのトレーニングなどの運営費として約148万マカオパタカ(約2000万円)を見込んでいるとした。

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は10月23日夜、マカオ域内で今年初めてとなる当地デング熱感染例を確認したと発表…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は10月23日夜、マカオで今年(2024年)8例目となる在郷軍人病(退…
  3.  マカオ司法警察局は10月22日、マカオに所在する複数の質店を訪れ、人工ダイヤモンドを天然と偽って…
  4.  マカオの多くのカジノ施設が航空会社のマイレージ制度と似た会員プログラムを提供しており、入会するこ…
  5.  このほどマカオ国際空港運営会社にあたる澳門國際機場專營股份有限公司(CAM)が公表した資料によれ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun