新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

　マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは12月7日午後5時（現地時間、以下同）から週に一度の定例記者会見を開催。マカオ域内における新型コロナウイルス新規感染確認は164日連続ゼロ、輸入関連性症例に限ると実に253日連続ゼロだったとのこと。

　これまでの累計退院者数は46人で、7月17日までに全員が退院済み。3月7〜14日と5月20日〜6月25日に続いて新型コロナ流行下で三度目かつ最長の入院患者ゼロ状態に入っている。

　目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び広東省における状況が落ち着いてきたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和（新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除）された。また、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可（個人・団体観光旅行）の申請がそれぞれ8月12日、26日から再開。さらに、9月23日から中国本土全域に拡大された。ただし、状況に応じて高リスク地区が指定され、当該地区に滞在していた場合はマカオ入境時に14日間の隔離検疫が必要となる。外国人の入境禁止は維持されているが、12月1日から一部緩和される。ただし、マカオ入境前14日間以上中国本土に滞在していることなどの諸条件をクリアした上でマカオ当局へ事前申請して可否判断を仰ぐ必要があり、恩恵を受ける数は限定的とみられる。7日午後1時までの申請数は139件、人数にして158人分で、すでに20人が許可を獲得、11人が条件に合わず不許可になったという。残りについては審査中または追加資料の提出待ちとのこと。

　マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設（高頂公共衛生臨床センター）の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。多重の防疫措置に加え、設備、医療スタッフとも充足。これまで市中感染、院内感染例とも発生しておらず、死亡例もゼロを達成している。

　今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布といった民生、経済支援対策にも乗り出している。

　マカオ域内における新型コロナの流行状況は落ち着いているが、政府は依然として警戒を緩めていない。例年、大晦日の夜から元日の未明にかけて政府主催のカウントダウン及び花火の打ち上げイベントが開催されるが、今シーズンについては中止することが発表された。カウントダウンイベントの参加者は例年約3万人で、会場一体に大勢の観衆が集まることから、密になるリスクがあるため、健康面と安全面を考慮したものとした。

　このほか、隔離検疫の対象者数が増えている状況（12月6日までの7日間で807人増）を受け、6日から新たにホテル1軒を借り上げたことを明らかにした。コロアン島にある5つ星ホテルのグランドコロアンリゾートで、客室数は200室。現在、1490人が政府指定場所（ホテル）での隔離検疫を受けているとのこと。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見＝2020年12月7日（写真：マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター）