香港、3/12の新型コロナ新規感染確認数60人…大半がフィットネスセンターのクラスター関連、第5波突入憂慮

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府の発表によれば、3月12日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から38人増の60人だった。60人以上となるのは1月27日以来のこと。内訳は市中感染が35人増の54人、輸入性が3人増の6人。市中感染のうち感染経路不明は2人増の5人で、13日連続で1桁台を維持している。翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)については20人超とのこと。

 この日の新規感染者のうち47人が近日認知された香港島の西營盤地区にあるフィットネスセンター「Ursus Fitness」における集団感染(クラスター)事案に絡むもので、内訳は利用者が40人、スタッフ及び密接接触者が7人。このフィットネス施設関連の感染確認者と初期感染確認者の合計は64人に上っている。香港衛生当局では、このクラスターの発生源が依然として不明であり、運営会社から名簿や座席表などの資料提供受け、追跡を進めているという。また、今回のフィットネスセンターにおけるクラスターをきっかけに第5波に突入することを憂慮しており、香港のすべてのフィットネスセンターの従業員が強制検査の対象とするなど、全力でコントロールを進めていくとした。

 最近の感染確認者数は増減を繰り返しながらも第4波下では低位にあるが、依然として市内各所で集団感染の発生や感染連鎖が続いている状況。感染経路不明も毎日のように一定数が確認されていることから、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させている可能性も指摘されている。香港は人口密度が高く、交通機関も発達しており、エリアを跨ぐ人の移動が多い土地柄。

 ここまでの香港における累計感染確認数は1万1211人、退院者数は1万0710人、死者数は203人。

 香港では、2月26日から新型コロナワクチンの接種計画がスタート。目下、高リスク群を対象とした接種が進められているが、3月9日から対象範囲が拡大された(*別記資料参照)。中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチンに加え、9日からはドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の接種もスタートしている。いずれも2回接種が必要とされるもの。香港衛生署は12日、新型コロナワクチン安全監察第1期総括報告を公表。3月7日までに報告された異常は71件だった。内訳は科興製が69件、ビオンテック製が2件で、接種総数に占める割合は前者が0.075%、後者が0.166%とのこと。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

【資料】3月9日から新たに優先接種グループに加わったカテゴリー
・飲食店、市場、スーパーマーケット、コンビニエンス・ストア、配達業者(含むフード・デリバリー)の関係者
・交通機関の職員(タクシー、バス、駅員等)
・建設業関係者
・施設管理の関係者(警備員、清掃員等)
・学校教職員(幼稚園、小・中学校、大学、特別学校、スクール・バス運転手等)
・観光業関係者
・飲食店等各種施設に対する規制に関する規則(香港法令第599F章)に関連する施設の従業員(フィットネスセンター、エステティックサロン等)
*2月26日から優先接種グループに指定されているカテゴリーは保健医療及び感染症対策業務の従事者、60歳以上、老人ホーム及び障害者施設の入居者と従業員、越境運輸及び港湾業務の従事者等

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月30日、中国本土の警察当局と連携し、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニン…
  2.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2024年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオでは例年通り5月1日に海開きを迎えた。10月31日までがマカオの遊泳シーズンとなる。 …
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun