マカオ、新型コロナ市中感染「365日連続ゼロ」達成…累計患者数48人、死亡例なし

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月29日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて365日連続ゼロだった。輸入性事案に関しては51日連続ゼロ。

 これまでの累計感染者(患者)数は48人で、46人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。

 3月24日に48人目の患者が退院したことを受けて、四度目の入院患者ゼロ状態に入っている。

 目下、新型コロナ指定医療機関の収容者数は3人。内訳は快復期隔離中が1人(上述の退院者)、再陽性者が2人(海外での感染歴を有するマカオ居民の帰国者)。いずれも発熱またはその他の症状はないという。

 なお、再陽性が出現したうち1人(英国から帰国した24歳の学生)について、3月26日に実施した検査でN501Y英国型の変異種ウイルスが検出されたとのこと。マカオで変異種ウイルスが確認されたのは初めてのこと。この学生は今年1月6日に英国で感染確認され、その後、当地で2月25日及び3月3日に受検したPCR検査結果がいずれも陰性だったことから、マカオ帰国条件を満たし、経由便を利用して3月7日に空路マカオへ入境。マカオ入境後に3回のPCR検査を受け(3月7、12、19日)、結果はいずれも陰性だったが、20日に受検したIgG抗体検査と26日に受検したPCR検査で陽性だったとのこと。マカオ到着後は閉塞管理体制にある隔離検疫を受けている期間中に発覚したもので、市中へ影響を及ぼすリスクは低いとした。

 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。外国人の入境禁止措置も継続中(3月16日からマカオで発給されたビザを利用して中国本土を訪れた場合の再入境は措置の対象外に)。中国本土との往来制限緩和後も市中感染は出現しておらず、各種防疫措置が機能しているといえる。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターでは、市中感染ゼロを丸一年維持できたことは、官民共同で取り組んできた防疫対策の成果であり、マカオの誇りだとした上、世界に目を向けると現在も流行状況は深刻であり、気を緩めることはできないとし、今後もしばらく防疫措置によって市民に対して不便を強いることになるが、必要な措置であり、理解をしてほしいと呼びかけた。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2021年3月29日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、さらに3月9日からはマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン(欧州製)の2種。ビオンテック製についてはパッケージに瑕疵が見つかったことから、24日から接種が一時中止となっている。

 29日午後4時までの累計ワクチン接種予約者数は8万9153人、接種を済ませた人は4万7483人とのこと。ワクチン接種後の異常については、累計で171件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が170件、重大な事案が1件。重大事案は、接種後しばらくしえ左胸痛を訴えた後に急性冠症候群の疑いと診断されたものだが、その後の専門家らによる分析で接種との因果関係なしと判断されている。

 マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。シノファーム製は全量到着済み、ビオンテック製の残りとアストラゼネカ製は順次到着予定となっている。なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。

 マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。すでに60万本が到着しており、単純計算でそ人口の44%に相当する。

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