香港・マカオ両政府、隔離検疫免除の相互往来に関する協議進む…香港の市中感染確認14日連続ゼロ達成で実現へ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月1日午後5時(現地時間、以下同)から記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて459日連続ゼロとなった。輸入性は4日連続ゼロ。

 これまでの累計感染確認者(患者)数は54人で、52人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限が維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年第4四半期にかけて両地間の往来制限が段階的に緩和が進み、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。なお、5月下旬に広東省で感染力の強い変異株の再流行が出現したことを受け、中リスク地域の指定が相次いだ。近日は終息に向かっているものの、1日時点でも省内の広州市、仏山市、東莞市、深セン市の一部などがマカオ入境時に隔離検疫が必要となる中リスク地域に指定されている。

 香港では、昨年11月から続いた流行第4波が5月下旬に終息。マカオ政府が香港との往来制限緩和に関する正式協議入りの条件として示した「香港における市中感染確認14日連続ゼロ」が6月21日に達成されたことを受けて、同日からマカオ・香港両政府が正式協議に入っている。

 この日の会見において、この件に関するアップデートも明らかにされた。目下、具体的な開始日は未決定であるものの、両政府間で隔離検疫なしの相互往来再開に関する暫定合意はできており、詰めの協議を進めているところとした。これまでの合意内容として、対象者は新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を済ませて14日が経過し、かつ48時間以内に受検した新型コロナPCR検査陰性証明を取得していることが条件になるという。また、香港からマカオへ渡航する場合には、マカオ滞在中に複数回のPCR検査を受けること、マカオにおける行動範囲を一部制限するとのこと。例として、ホテルに香港からの旅客に特化した宿泊フロアを設定(6月30日までに51軒のホテルが名乗りを挙げ、供給客室数合計は約2700室)、マスクなしでの会合参加不可、バー・カラオケ・ダンスホール等の入場禁止などを挙げた。当初、香港で28日連続市中感染確認ゼロとなった時点でスタートするとしていたが、昨今の香港における状況を鑑み、感染経路不明の市中感染が14日連続ゼロとなれば実施できるとする見通しを新たに示した。なお、マカオから香港へ渡航する場合の香港側の条件については、追って香港側から発表があるとした。

 新たに示された基準をベースに計算すると、最短での実施は7月11日ということになりそうだ。ただし、1日の香港における初歩感染確認例の中に隔離検疫用ホテルの清掃スタッフ1人が含まれ、変異株感染だったとされており、依然として不透明な状況だ。

 新型コロナワクチンの接種状況は、人口約68万人のマカオで1回目接種済みが12万8167人、2回目接種済みが11万0322人(1日午後4時時点)、人口約750万人の香港で1回目接種済みが224万8992人、2回目接種済みが148万0088人(6月30日午後8時時点)となっている。

 現在、マカオから香港へ入境する場合は、一定の条件を満たせば隔離検疫免除となる場合もあるが、逆ルートでは1年以上にわたって隔離検疫が必須の状況が続いている。

 このほか、広東省当局とも往来制限の緩和についての協議を進めているとのこと。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる合同記者会見=2021年7月1日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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