香港、新型コロナ新規感染確認1347人…初歩陽性者は約2000人=2/13

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、その多くが感染経路不明となるなど、状況が深刻化している。

 香港衛生当局の発表によれば、2月13日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は1347人で、内訳は市中が1345人、輸入性(海外からの入境者)が2人。

 単日感染確認数の流行開始以来最多更新は3日ぶりにストップしたものの、直近6日間で5度目の4桁台となり、高位を維持。さらに、明日以降に感染確認される可能性の高い初歩陽性者は約2000人、自宅検疫者数は4317人に上るとのこと。オミクロン変異株が主だが、一部の地区ではデルタ変異株による伝播も存在するとした。

 死亡例はゼロだが、3人が危篤状態にあり、このうち1人が3歳女児で、12日に救急外来を受診し、即入院となったが、病室へ移った後に容体が急変したという。残る2人は80代と90代の高齢者。第5波下での新型コロナによる累計死亡者数は8人で、内訳は4歳の男児が1人と70〜90代の高齢者7人。

 香港衛生当局は13日夕方の会見の中で、感染確認及び初歩陽性者の数が急増する中、すでに公立病院ではキャパシティを上回り、隔離施設も飽和状態となっており、医療崩壊を防ぐためトリアージを実施することを明らかにした。近日は高齢者と子供が感染するケースが多く、速やかに入院治療を施すため、隔離病床の分配について重症者、高齢者、子供を優先し、若者、症状安定、軽症者は自宅待機が長引くことも想定されるが、電話によるサポートを提供するとのこと。なお、自宅待機は最善策ではないことも十分認識しているとし、隔離施設の拡充プランを準備しており、可能な限り短期内に大幅な隔離病床数の増を実現するとした。

 香港では市中で出現した感染確認及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人、下水から陽性反応が検出されたエリア等が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、域外からの流入防止を目的とした水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 香港の2月12日午後8時時点のワクチン接種率は82.8%(1回目の接種完了)、73.9%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパスポート(所定施設入場時に1回以上のワクチン接種証明を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から上昇傾向が続く。12日の接種回数は7万3124回。政府は免疫の壁を構築するための目標として、接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスポートが10日から一部で先行スタートしている。

九龍・深水ポ地区にある団地「蘇屋邨」の特定棟(海棠樓)で実施された強制ウイルス検査の受検確認作業の様子=2022年2月12日(写真:news.gov.hk)

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