マカオ、市中陽性者が88人増…6/18以来の累計572人に=全市民対象検査高頻度実施

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月30日午前、6・18アウトブレイクに関する各種最新情報を発表した。

 30日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は88人(一般市中49人、隔離対象39人)で、6月18日以降の累計は572人に。前日から18人増となったほか、依然として一般市中で発見に至るケースが多い状況で、市中に伝播チェーンが残っていることが伺える。

 30日午前8時までに隔離の対象とされた人の数は1万0108人に上るとのこと。内訳は、陽性者のほか、核心濃厚接触者が1614人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が6436人、二次濃厚接触者が489人、一般接触者が334人、付き添い人が663人。隔離対象者の数も日を追うごとに増えている。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。直近では、27日午前9時から28日午後6時の間に3回目の全市民PCR検査を展開。約65.2万人が受検し、混合サンプル(10人分の検体を1本とする方式)44本が陽性だったとのこと。3回目の全市民PCR検査を終えたばかりだが、29日と30日にそれぞれ1回ずつの迅速抗原検査が実施されている。

 複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウンの対象とされる場所(ビル及び店舗単位)も次々と出現。予防措置として高齢者介護施設についても閉塞管理に。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけている。なお、局地ロックダウン対象場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう求めており、25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に警告を発するようになった。なお、カジノ施設については、局地ロックダウン対象となっているホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続しているが、入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を必須とするなど防疫措置が強化されている。

 人流を抑制し、度重なる全市民対象検査を実施する中でも、連日多くの新規陽性者が出現する状況だが、爆発的な感染増には至っておらず、一定の拡散防止効果はあるものとみられる。また、陽性者の大多数が無症状または軽症という。これまでのところ具体的な感染源に関する情報は公表されておらず、調査が難航しているものとみられる。

局地ロックダウン対象エリア住民への配給物資の準備にあたる政府職員ら(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は10月23日夜、マカオ域内で今年初めてとなる当地デング熱感染例を確認したと発表…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は10月23日夜、マカオで今年(2024年)8例目となる在郷軍人病(退…
  3.  マカオ司法警察局は10月22日、マカオに所在する複数の質店を訪れ、人工ダイヤモンドを天然と偽って…
  4.  マカオの多くのカジノ施設が航空会社のマイレージ制度と似た会員プログラムを提供しており、入会するこ…
  5.  このほどマカオ国際空港運営会社にあたる澳門國際機場專營股份有限公司(CAM)が公表した資料によれ…

ピックアップ記事

  1.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  2.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun