香港の新型コロナ新規市中感染確認者数2558人…状況悪化、2週間後には5〜6千人に達する予測も=7/12

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月12日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から53人減の2558人、輸入性は41人減の211人だった。

 輸入性の出発地別内訳は英国56人、タイ19人、米国とシンガポール各18人など。

 市中と輸入性の合計は前日から94人減の2769人で、5日連続3千人以下。第5波開始以来の累計感染確認数は約126.4万人。

 新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9207人に。新規の死亡者はワクチン2回接種済みの94歳女性だったとのこと。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。

 12日の学校からの陽性報告数は285校の369人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は164校に上った。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次ぎ、小規模なクラスターも出現している。

 当局は過去数週間の流行状況について、感染者数及び入院患者数の上昇が続き、10〜14日ごとに倍増している状況とし、この状況が続けば2週間後の単日新規感染者数は5〜6千人に達するとの予測を示した。また、このところの状況の悪化により、公立病院における新型コロナ患者数が1千人近くにまで増えており、急を要しないサービスに影響が出始めているとのこと。政府は現行のソーシャルディスタンス措置を14日間(27日まで)延長することも明らかにした。

 7月11日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.8%(1回目の接種完了)、89.0%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。11日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万3290回で、7日移動平均は1万2956回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.34%)、70〜79歳(81.95%)、80歳以上(69.46%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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