マカオの”社会相対静止”措置が5日間延長に…全市民対象の高頻度PCR検査も継続…オミクロンBA.5流行封じ込めへ

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで約1ヶ月にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入し(感染源不明)、伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月16日午後5時から定例会見を開き、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表した。

 16日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は31人で、前日と同数。7月9日のピーク(149人)以降、減少傾向が続くが、直近4日間は30人前後で横ばい(下げ止まり)に。

 31人のうち隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったのが18人、一般市中からが13人(濃厚接触者1人、全市民PCR検査及び重点検査対象10人、その他2人)とのこと。8日連続で隔離対象から発見に至ったケースが過半数を占めたが、一般市中からの陽性者数は増加に転じた。

 6月18日以降の累計陽性者は1706人。内訳は女性895人、男性が811人、年齢3ヶ月〜100歳、症状あり(感染確認)が陽性者全体の37.6%にあたる641人、無症状が同62.4%の1065人。

 16日午前8時までに疫学調査の対象(隔離)とされた人の数は2万0994人に上った。内訳は陽性者1706人のほか、濃厚接触者が3226人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万1361人、二次濃厚接触者が1227人、一般接触者が254人、付き添い人が776人。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。7月10日から17日までの8日間にわたって4回(6月19日以降で7、8、9、10回目)の全市民PCR検査が実施されており、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められる。現在、10回目の検査が実施中(16日午前9時から17日午後6時)で、16日午後3時までに約18.5万人が受検し、うち結果が判明した約3.2万人についてはすべて陰性で、陽性反応が検出された混合検体(10人分で1本)はゼロ。前週初頭の4回目以降、回を重ねるごとに混合検体の陽性反応検出数は減少傾向にある。具体的には第4回が94本、第5回が41本、第6回が23本、第7回が17本、第8回が13本、第9回が9本。また、新たに18日から23日まで6日間にわたって3回(11、12、13回目)の全市民PCR検査(+毎日の迅速抗原検査)を追加実施することも発表された。

 目下、陽性者が出現した場所(ビル及び店舗単位)に対する局地ロックダウンや各種人流抑制策などが講じられているが、追加の特別措置を講じる行政長官令が発出され、7月11日午前0時から7日間にわたり”社会相対静止”状態に入った。期間中、社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営は停止が求められる。カジノも閉鎖に。また、ステイホームを基本とし、外出は全市民PCR検査受験や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められる。本措置についても、5日間(23日午前0時まで)の延長することがアナウンスされた。

 政府は、オミクロンBA.5の感染力の強さを挙げ、正常化にはゼロコロナの達成が必要不可欠であり、その総仕上げ段階にあるとし、厳格な防疫措置を次週まで維持することに理解を求めた。同時に、6・18アウトブレイク発生直後に発表した総額100億パタカ(日本円換算:約1700億円)規模の経済支援対策に加え、同規模の追加支援策を講じる考えも示した。

 このほか、前日公表された隔離検疫ホテル(濃厚接触者を収容するコタイ地区の「ザ・パリジャン・マカオ」)内で発生した交差感染事案について、新たに閉塞管理(バブル)状態の中で勤務するスタッフと検疫期間を満了して市中に戻った人の中から多くの陽性者が見つかり、計40人(スタッフ25人、宿泊者15人)のクラスターに発展したことが明らかとなった。

マカオで高頻度実施されている全市民対象PCR検査会場の様子(資料)=2022年7月10日(写真:GCS)

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