香港の新型コロナ新規感染確認者数が13日連続4千人超…第5波下の累計死亡者数が9307人に=8/2

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月2日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から130人減の3889人、輸入性は1人減の234人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が142人、隔離検疫ホテルが79人、隔離検疫期間を満了して市中に出た後が13人。

 市中と輸入性の合計は前日から131人減の4123人。13日連続4千人超となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約135.0万人。

 新規死亡報告数は11人で、年齢は2歳(22ヶ月)〜96歳。第5波開始以来の累計死亡者数は9307人に。医管局では、感染者数とともに死亡者数も増加し、そのスピードは速く、7月初旬には毎日1〜2人あるいは2〜3人の死亡者だったのが、この1週間では5〜6人となっているとした。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は1536人で、新規入院が171人とのこと。容体は危篤が16人、深刻が28人など。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月10日までは現状維持が決まっている。一方で、入境時に求める検疫措置の調整(緩和)について各種データの検証が行われているという。

 2日の学校からの陽性報告数は383校の549人で、内訳は生徒443人、教職員109人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は199校に上るとのこと。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 8月1日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.0%(1回目の接種完了)、89.5%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。1日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万2464回で、7日移動平均は1万2177回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(77.43%)、70〜79歳(82.19%)、80歳以上(69.93%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

 このほか、ワクチン接種に関して、政府は中国シノバック社製の不活化ワクチンの接種対象下限年齢を3歳から6ヶ月に引き下げ、8月4日から接種開始が可能になると発表。また同日から50〜59歳の要件を満たす人に対する4回目の接種(シノバック社製またはビオンテック社製mRNAワクチン)の接種受付も開始するとした。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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