マカオで今年4人目のツツガムシ病患者確認…患者はガーデニング業に従事

 マカオ政府衛生局(SSM)は6月15日、マカオで感染症のツツガムシ(恙虫)病とみられる患者が新たに1人報告されたと発表。

 SSMによれば、患者はマカオでガーデニング業に従事するフィリピン人の男性(32)で、6月5日に発熱の症状が現れたため私立のクリニックを受診したが、その後も症状が続いたため同月15日に公立総合病院の仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の救急外来を受診したところ、検査で右脇腹部にピーナッツ大のかさぶたが見つかり、症状及び徴候からツツガムシ病と臨床診断されたとのこと。患者は経過観察のため入院することとなったが、容体は安定しているという。

 患者は聞き取り調査に対し、最近コロアン島の畳石塘山で仕事をしており、草むらで活動することもあったが、外遊歴はないと回答。患者の家族、職場の同僚に類似の症状は出ていないとした。

 マカオでツツガムシ病の感染者が確認されるのは今年4人目で、すべて5月中旬以降の事案。6月に入って以降は3人目。いずれもマカオでガーデニング業に従事しており、域内で感染したものとみられる。本来マカオで輸入性ではないツツガムシ病の感染例が見つかるのは極めて稀なケースだが、昨年から今年にかけては域内での感染例が主となっている。

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)=本紙撮影

 ツツガムシ病は日本で第4類感染症に指定されており、ツツガムシリケッチアと呼ばれる病原体の感染によって引き起こされる、人獣共通感染症のひとつ。野ネズミなどの哺乳類に寄生するダニの一種、ツツガムシのうちの一部が媒介者となる。ツツガムシが生息する野山や河川敷で罹患することが多い。ツツガムシ病の初期症状はインフルエンザににており、食欲減退、頭痛、悪寒、高熱などがみられ、4、5日目には発疹が現れる。放置すると肝臓や腎臓の機能にも影響が及ぶといわれる。現在、予防ワクチンはなく、抗生物質を服用することが有効な治療法とされているとのこと。

 SSMでは、市民に対して野外活動の際にむやみに草むらに入らない、肌の露出が少ない服装を心がける、ダニに効く虫除けスプレーなどを使用するなど、感染防御策を徹底するよう市民に呼びかけている。さらに、公園及び郊外の山林等を管轄する部門に対しても、定期的な除草によりツツガムシの生息場所と密度を減らし、ネズミの駆除についても定期実施するよう求めた。

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