日本の歴史教員一行、中国・南京の高校訪れ「抗日史」授業参観

一般社団法人日本歴史教育者協議会(歴教協)のメンバーを中心とした約20人の歴史教員ら一行が12月29日、中国・南京市の金陵中学(日本の中学、高校に相当)を訪れ、高校1年生の51名の生徒らを対象とした「記憶の力、我々の抗戦」と名付けられた歴史の授業を参観したという。

マカオの日刊紙「澳門日報」が12月31日付紙面で報じた。親中といわれる同紙の報道内容によると、歴教協は長きに渡って「歴史を忘れず、未来に向き合う」の精神で日本における歴史教育及び研究に携わってきたとし、日本の歴史教科書の「改ざん」や「右翼勢力」による平和憲法改正の動きと闘争を展開してきた団体と紹介している。

授業は、大量の写真や文献などの「史料」を用いて抗日戦争の「史実」を紹介する内容で、教員による講義の合間に、多くの学生が登壇し、自身の歴史認識などについて発言を行ったとのこと。授業終了後、学生らから参観に訪れた日本の教員らに愛と平和のシンボルとして知られる紫金草をあしらったカードが贈られた。また、日中双方の教師の間で、教科書や副読本などの交換も行われたという。

参観した日本の教師は「非常に有意義な歴史の授業を聴くことができた」などとコメントしたとのこと。記事では「日中両国の人々がより近い歴史観を持つことで、両国の間に真の平和と友好が実現する」とした上、「良心、良知、正義感を持った日本の歴史教員によって、学生らに反戦と平和的共生の思考がもたらされるだろう」とまとめている。

歴教協は日本の小・中・高校・大学などで歴史教育及び研究に携わる教員らで構成される一般社団法人。公式ホームページには「日本国憲法に基づき、平和と民主主義をめざす歴史・社会科教育の実践しよう」や「河村たかし名古屋市長の南京事件否定発言に抗議し撤回を求める」などの主張が並ぶ。

マカオの塔石体育館では中国の南京事件国家追悼日に合わせて写真展「血塗られた歴史-アジア太平洋地区における日本軍国主義の罪」が開催された=12月13日、マカオ

マカオの塔石体育館では中国の南京事件国家追悼日に合わせて写真展「血塗られた歴史-アジア太平洋地区における日本軍国主義の罪」が開催された=12月13日、マカオ

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun