マカオ、カジノ入場禁止申請わずか700件=当局は依存症対策へ啓蒙活動強化、カウンセラー大幅増員の意向

2002年のカジノ経営ライセンスの対外開放を機に世界一のカジノ都市へと急成長を遂げたマカオ。面積約30平方キロ、人口64万人の小さな街に、大小合わせて35ものカジノ施設が軒を連ねる。

近年、マカオでもギャンブル依存症対策について社会的関心が高まっており、政府及びカジノや競馬、ドッグレースといったギャンブル運営企業が以前よりも積極的に取り組む姿勢が見受けられるようになった。

マカオ政府のギャンブル依存症の予防と治療などを担当する社会工作局は11月8日、2003年にギャンブル依存症対策の一環として導入したカジノなどのギャンブル施設への入場禁止を本人または家族などが申請できる隔離措置について、これまでの申請数がおよそ700件だったことを明らかにした。同局では、この数字について極めて少ない印象とし、本来サポートを必要とする対象者が積極的に当局にアプローチしてこない現状があるとの見方を示した。

また、小さな街に多くのカジノ施設が建ち並ぶマカオでは、日常生活の中でギャンブルと接触する機会も多いことから、当局として市民に対する継続的なレスポンシブル・ゲーミング(責任あるゲーミング)啓蒙活動を通じ、ギャンブルに関する知識及び理解の向上を図り、自己防御能力を高めてもらうことで、ギャンブル依存症予防に努めたいとした。

なお、マカオには現在およそ90人のギャンブル依存症対策専門のカウンセラーがいるが、今後人材育成を強化し、最終的に600〜700人体制にしたい考えという。

社会工作局では、ギャンブル依存症対策として、カジノからの隔離措置のほか、本人あるいは家族に対するカウンセリング及び治療、24時間体制で相談を受け付けるホットラインの設置などのサービスを提供している。

マカオのカジノ入口などで配布されているレスポンシブル・ゲーミング関連の印刷物(資料)―本紙撮影

マカオのカジノ入口などで配布されているレスポンシブル・ゲーミング関連の印刷物(資料)―本紙撮影

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