マカオの失業率1.8%に、0.1ポイント悪化=カジノ低迷の影響じわり、史上最良水準は16期連続でストップ

マカオ政府統計調査局が6月29日に発表した最新の雇用統計によると、今年(2015年)3〜5月の総体失業率は前回調査(2月〜4月)から0.1ポイントの悪化となる1.8%で、就業不足率は前回と同水準の0.3%となった。これまで史上最良水準の失業率1.7%を16期連続で維持してきたが、マカオ経済の屋台骨ともいえるカジノ売上が昨年6月から今年5月まで12ヶ月連続前年割れとなる中、その影響がじわり数字として現れた格好となる。

今年3〜5月期の労働人口は40.57万人、労働参加率は74.0%。このうち、就業人口は39.85万人で前回調査時から500人減少。業種別の就業者数では、不動産業及びビジネスサービス業従事者の減少が目立った。

失業人口は前回調査から500人の減少となる7200人。このうち、初めて職探しをする新増労働力の占める割合は0.2ポイント上昇の5.9%。

前年同時期との比較では、労働参加率が0.7%、総体失業率が0.1ポイントのそれぞれ上昇、就業不足率は0.1ポイントの下落となっている。

マカオの政府系放送局TDMが同日夕方のラジオニュースで報じたマカオ経済学会の曽澤瑤副会長のコメントによると、今回の失業率悪化の要因として、学生の卒業時期と重なり求職者が増えたこと、カジノ低迷の影響によりサービス業、不動産業の人材需要が減退していることを挙げた。また、今年下半期についても失業率の悪化が続くとしたが、人材マーケットは依然として飽和状態ではないことから、2%を上回ることはないとの見通しを語った。

マカオでは、今年5月以降、コタイ地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)施設のオープンラッシュがスタートした。5月27日に開幕した大型カジノIR施設「ギャラクシーマカオ」第2期及び「ブロードウェイマカオ」を運営するギャラクシーエンターテイメントグループによると、直近のグループ全体の従業員数は2.4万人となり、このうち7000人が新施設の開幕による増員分という。また、施設内の飲食業、小売業者による雇用を加えると、およそ1万人の新規雇用を創出したとのこと。さらに、今年第3四半期に開業を予定している「スタジオ・シティ」を運営するメルコ・クラウン・エンターテインメントでは、開幕にあたり8000〜1万人の新規雇用を行う考えを示しており、新規カジノIRの開幕による年内の新規雇用創出効果は2万人規模となる見通し。

逆風下ではあるが、カジノIR運営各社とも既存人材の囲い込みと新規人材の採用の双方について積極的な姿勢を維持している。

マカオの町並み。手前がマカオ半島南部、奥がタイパ島、コタイ地区(資料)=2015年4月(写真:GCS)

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