韓国カジノの中国人ギャンブラー勧誘めぐり中韓がせめぎ合い

昨今、マカオ、韓国、シンガポール、フィリピン、ベトナム、カンボジアなど、アジア各地のカジノ国・地域の間で「チャイナ・マネー」獲得合戦が繰り広げられている。

中国国営放送局CCTVが10月12日に放送した報道番組「焦点訪談」で、韓国のカジノによる積極的な中国人ギャンブラー誘致活動の実態や、トラブル事例などが紹介された。

報道内容によると、韓国のカジノ企業は中国各地に設置した事務所を通じ、渡航費用や滞在費だけでなく、モデル女性による性的サービスまでも無料で提供するなどの謳い文句で富裕層ギャンブラーを積極勧誘していたという。

中国公安当局は2013年、中国国内で勧誘行為を行っていた韓国・済州島のカジノ関係者4人を検挙。このカジノは中国人ギャンブラーの激減により閉鎖を余儀なくされたとのこと。しかし、その後も巨大マーケット・中国を舞台にした韓国カジノによる水面下での勧誘は続き、韓国を訪れる中国人ギャンブラーは増える一方だったという。大きな動きがあったのは今年(2015年)6月のこと。中国公安当局が全国4つの省と市で大掛かりな取り締まりを実施、違法な勧誘行為や資金移動のための地下銀行を運営していたなどとして韓国人13人と中国人幹部協力者34人を一斉に検挙。これを機に韓国のすべてのカジノ施設が中国拠点を引き上げたという。

中国人の間で韓国の人気渡航先となっているのが済州島だ。済州島は中国人旅客に対するビザ免除措置を講じており、複数のカジノ施設が建ち並ぶリゾートとして知られる。

在済州島中国総領事館の総領事が同番組のインタビュー取材に対してコメントした内容によると、韓国政府が済州島を訪れる中国人旅客に対する30日間のビザ免除措置を始めたのは2010年のことで、2012年頃から当地を訪れる中国人旅客が急増したという。また、済州島には現在8軒の外国人向けカジノがあるが、ビジターの8割が中国人とのこと。昨今、カジノ絡みの借金に関するトラブルなどが多発し、総領事館に駆け込む例もあることから、中国公安当局が関心を持つに至ったという。

韓国・仁川国際空港(資料)—本紙撮影

韓国・仁川国際空港(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ半島新口岸地区にあるカジノIR(統合型リゾート)サンズマカオ(澳門金沙)がきょう(5月18…
  2.  マカオ司法警察局は5月16日、マカオで商業ビルのレンタル会議室を宝飾品店に偽装し、マカオ人の男性…
  3.  香港金融管理局は5月17日、香港におけるデジタル人民元の実証実験範囲を拡大し、香港の携帯電話番号…
  4.  マカオの統合型リゾート(IR)運営企業SJMリゾーツ社がマカオ特別行政区の成立25周年を記念して…
  5.  マカオ政府統計調査局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)の民間建築及び 不動産取引…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun