香港、2/14の新型コロナ新規感染確認数12人…2日連続で第4波下最少、3月上旬にもワクチン接種開始見通し

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府は2月14日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が第4波下最少だった前日から横ばいの12人だったと発表。内訳についても前日同様の市中感染10人、輸入性2人。市中感染のうち感染経路不明は1人増の3人で、10日連続で1桁台だった。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は約10人とのこと。

 依然として市内各所で感染連鎖が続いており、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させているものとみられる。

 この日の感染経路不明の感染者のうち1人は、前日初歩感染確認された香港の公共放送局RTHKのヘアメイク職スタッフ(35)で、2月11日に発症し、12日に検査で陽性反応が確認された。潜伏期間内の9日から11日にかけて出勤していたとのこと。患者が滞在していたメイク室の面積は28〜37平米で、30人を収容する密閉された空間だったという。香港衛生当局は患者の潜伏期間内にメイク室内でマスクを外した、患者からヘアメイクサービスを受けた、さらには同じ現場にいた26人を密接接触者としたが、その他の同局のビル内にいた人についても検査を受けるよう呼びかけた。

 香港では、第4波下で感染者が複数出現したビル(マンション)の住民に対する強制検査、1月下旬からは感染例の集中する特定区域を対象とした局地ロックダウンによる強制検査が散発的に実施されており、近日では広範かつ頻繁に実施されるようになった。並行して強制検査対象とするビルの基準引き締めも進んでいる。なお、政府は局地ロックダウンについては2月10日から春節(旧正月)ホリデー期間中にかけて実施しない方針。

 ここまでの香港における累計感染確認数は1万0780人、退院者数は1万0185人、死者数は193人。

香港国際空港に設けられた空港スタッフ専門のウイルス検査センターを視察する香港政府政務庁の張建宗(マシュー・チャン)長官ら=2021年2月13日(写真:news.gov.hk)

 昨今の感染確認者数は増減を繰り返しながらも第4波下では低位にある。ただし、これまでもホリデーシーズン後に急増するパターンとなっているため、12日から15日にかけての春節(旧正月)ホリデー以降の動向が気がかりだ。政府はソーシャルディスタンス措置(飲食店のイートインは1テーブルあたり2人までに制限、飲食店の夕食時間帯以降の営業禁止、バー・美容院・劇場・カラオケ店ほか多業種を対象とした閉鎖令など)を17日まで維持するが、18日以降は飲食店における1テーブルあたりの人数を4人に、営業時間を午後10時まで延長することなど、一部緩和する方針を示している。政府部門における公共サービスについても18日から全面再開予定。

 このほか、香港政府公務員事務局の聶徳権(パトリック・ニップ)局長は14日、新型コロナウイルスワクチンに関して、中国の復星医薬が代理となるビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の第1便として100万回分が2月末までに香港到着予定とし、順調に事が運べば3月初旬にも接種を開始できるとの見通しを明らかにし、詳細は近日中に公表するとコメント。ワクチン接種センターは域内18ヶ所に開設する予定だが、最終的には20ヶ所に以上になるだろうとした。

 香港で第4波が続く一方、海を隔てて隣にある人口約68万人のマカオでは、封じ込めに成功している。1月下旬から2月上旬にかけて2人の新規感染確認があったが、ドバイとポルトガルからの入境者(帰郷者)で、輸入性事例にあたる。市中における感染確認に関しては2月14日まで322日連続ゼロ。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でも長期にわたって市中感染ゼロを維持できていることから、域内、周辺地域、世界の流行状況に応じて迅速に防疫措置の内容を調整する方策が機能しているといえる。2月9日からは香港より先に新型コロナウイルスワクチン接種がスタートしている。

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