香港の新型コロナ新規市中感染確認数が1千人超に…ソーシャルディスタンス措置緩和後リバウンド出現=6/16

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、近日は再び増加に転じている。

 香港衛生当局が6月16日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から114人増の1085人。内訳はPCR検査経由が423人、迅速抗原検査経由が662人。市中感染確認例が1千人超となるのは4月14日以来、約2ヶ月ぶりのこと。

 輸入性は18人増の94人。このうち38人が空港到着時の検査、43人がホテルでの隔離検疫期間中の検査、13人が隔離検疫期間満了後に市中へ出てからの検査でそれぞれ発見に至ったもの。

 新規の死亡報告数はゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9179人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。

 16日の学校からの陽性報告数は103校の113人(学生83人、教職員30人)。先週以来、対面授業再開後の平均水準を大きく上回る状況が続く。また、このところオミクロンBA2.12.1の市中感染確認が相次ぎ、患者の出現範囲は香港の広い範囲に及び、感染経路不明のケースも多くなっている。

 当局は16日夕方の会見で、過去2週間にわたって市中感染確認の増加が続き、1千人を突破するに至ったとし、今後しばらくこの水準で推移するとの見通しを示した。主な増加要因としてソーシャルディスタンス措置の緩和を挙げ、依然として市中に伝播チェーンが存在する中で市民生活の正常化が進んだため、予想の範囲内とのこと。ただし、目下のところ入院率、死亡率については落ち着いているものの、感染者数の増に伴い、比率の上昇もあり得るとした。

 このほか、16日から14日間にわたってバーやナイトクラブへ入店する際に24時間以内の迅速抗原検査陰性証明の提示を必須とする措置が講じられる。

 6月15日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.4%(1回目の接種完了)、87.9%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。15日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万8969回で、7日移動平均は2万0895回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.04%)、70〜79歳(81.44%)、80歳以上(68.39%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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