マカオの改正カジノ法が可決…次期ライセンス入札に向け前進

 6月21日午後、マカオ立法会本会議で娯楽場幸運博彩経営法律制度(通称「カジノ法」)の改正に関する法案の細則性審議及び表決が行われ、賛成多数(賛成31、反対1)で可決された。

 マカオでは、現行のカジノ経営コンセッション(ライセンス)の満期が近づく中、次期コンセッションの入札に向けた準備の一環として、同法の改正手続きが進められてきた。

 現行コンセッションの満期日は全6社が横並びで今年(2022年)6月26日だったが、時間的余裕を確保するため、今年12月末日まで延長されている。

 同法は、現行コンセッションのスタート時期にあたる2001年に制定されたもので、政府は20年の間にカジノ業界はもとより、経済・社会状況も大きく変化したことを踏まえた改正が必要との考えを示してきた。コロナ禍で準備に遅れが生じていたものの、昨年(2021年)秋頃から改正に向けた動きが本格化。同年内にパブリックコメントと総括報告書を取りまとめた。その後、今年1月下旬にマカオ立法会本会議で草案が賛成多数で可決され、以降は立法会常設委員会での細則性審議が進められてきた。

 改正カジノ法の主なポイントとして、コンセッション事業者数(ライセンス数)は最大6社(現行は本ライセンス3+サブライセンス3)、ライセンス譲渡の禁止、契約期間は最大10年間(最大3年間の延長オプション)、契約先管理会社からレベニューシェアあるいはコミッションの徴収不可(管理費のみ徴収可)、仲介業者の複数コンセッション事業者へのサービス提供禁止(1社との契約のみ)、中国本土以外の国際客取り込みで最大5%の減税を可能とすることなどが挙げられる。

 現行法との比較では、政府による管理・監督が強まるかたちとなり、コンセッション事業者は政府方針へのより一層の協力が求められることになりそうだ。

 改正法は公布の翌日から施行となる。(追記:行政長官が22日にサイン、公布したため、施行日は6月23日に)

 現行コンセッション6社は改正法案可決後に続々とプレスリリースを発出し、歓迎及び入札への積極参加、また政府が目指す世界的ツーリズム・レジャーセンター化への協力意向を示した。

 改正法案の可決によって、次期ライセンス入札に向けた下準備が整ったといえ、今後は入札プロセスの内容に注目が集まりそうだ。

マカオ立法会本会議で改正カジノ法案の細則性審議及び表決が行われ、賛成多数で可決に=2022年6月21日(写真:GCS)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月30日、中国本土の警察当局と連携し、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニン…
  2.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2024年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオでは例年通り5月1日に海開きを迎えた。10月31日までがマカオの遊泳シーズンとなる。 …
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun