香港の新型コロナ新規感染確認者数が18日連続4千人超…海外から入境時の隔離検疫期間が3日間に短縮へ=8/8

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月8日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から228人減の3807人、輸入性は6人減の233人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から234人減の4040人で、18日連続4千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約137.7万人。

 新規死亡報告数は7人で、年齢は66〜88歳。第5波開始以来の累計死亡者数は9334人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は1528人で、新規入院が185人とのこと。容体は危篤が24人、深刻が22人など。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月10日までは現状維持が決まっている。

 一方で、香港政府は8日午前、海外及び台湾からの入境者に対する検疫措置の緩和を発表。12日から指定ホテルでの隔離検疫期間が3日間(到着日を0日目とする計算)、その後の4日間を医学観察期間となる。医学観察期間中は一部行動制限がかかるものの外出は可能となる。現行は指定ホテルでの隔離期間が7日間となっており、大幅な短縮となった。衛生当局では、オミクロン株は潜伏期間が短く、直近では1000人の旅客のうち約40人が感染確認され、その大半が空港での検査または隔離検疫2日目までに発見され、3日目以降は1%以下であるとするデータを示した上、7日間の隔離検疫を維持することは費用対効果が低く、香港と世界の連接性にも寄与しないとした。

 8日の学校からの陽性報告数は402校の692人(週末分を含む)で、内訳は生徒541人、教職員151人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は255校に上った。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 8月7日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.1%(1回目の接種完了)、89.7%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。7日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万0947回で、7日移動平均は1万4463回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(77.83%)、70〜79歳(82.24%)、80歳以上(70.04%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

 このほか、オミクロン変異株派生型の感染例が再び増加しており、新規感染確認例に占める割合はBA.4あるいはBA.5が12.7%、BA.2.12.1が6.3%に上るという。中でも、BA.5が増加傾向を維持しており、これから置き換えが進む可能性も否定できないとした。

香港国際空港(資料)-本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局が4月26日に公表した資料によれば、今年(2024年)3月の総合消費者…
  2.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  3.  マカオ司法警察局は4月26日、前月(3月)コタイ地区の統合型リゾート(IR)併設カジノ場内にある…
  4.  澳門海關(マカオ税関)は4月26日、世界知的所有権機関(WIPO)が制定した「世界知的財産の日(…
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土では5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴ…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun