マカオのカジノIR併設ホテルで殺人事件発生…容疑者は中国本土に逃亡もスピード逮捕

 マカオ・コタイ地区にあるカジノIR(統合型リゾート)併設ホテルの客室内で5月4日、男性の遺体が見つかり、現場の状況などからマカオ司法警察局が殺人事件として捜査に着手。同日夜、容疑者が中国本土で逮捕された。

 マカオ司法警察局は5月5日午後に特別会見を開き、事件の概要を発表。被害者と容疑者はいずれも中国本土出身で、半月前に知り合って以来、事件のあったホテル客室に同宿し、それぞれ「換銭党」と呼ばれる違法両替ビジネスに従事していたとのこと。

 事件発覚の経緯は、ホテルからの通報だったという。遺体に複数の傷跡があったことから、他殺と見て捜査を展開。監視カメラ映像などから、被害者が部屋に入ったのが5月3日の午後11時頃、容疑者が部屋に入ったのは4日午前2時頃で、容疑者はその約2時間後に荷物を持って部屋を出ており、すでにマカオから中国本土へ逃亡を図っていたことが判明した。その後、中国本土の公安当局の協力により、4日午後11時頃に広東省潮州市内で容疑者逮捕に至ったという。

殺人事件発生現場での鑑識作業の様子(写真:マカオ司法警察局)

 容疑者は中国公安当局の調べに対し、自身の犯行であることを認めた上、動機は被害者との間で発生した金銭トラブル、凶器は携行型の魔法瓶だったなどと供述したが、その他の詳細については黙秘しているとのこと。

 なお、容疑者は被害者が所持していた約17万香港ドル(日本円換算:約290万円)の現金、スマートフォン1台、ゴールド製の指輪を奪ったとみられるが、行方が不明となっており、マカオ司法警察局では中国公安当局とともに捜査を継続して行くとしているとしている。

 警察発表資料によれば、本件がマカオで発生した今年2件目の殺人事件となる。前回は3月12日にマカオ半島旧市街地にあるホテルでマッサージに従事していたマカオ人女性の遺体が見つかったもので、翌日マカオ内で香港人の男が逮捕された。カジノIR併設ホテルが舞台となった殺人事件は昨年(2022年)5月7日以来のこと。中国本土出身の女性2人の全裸遺体が見つかったもので、容疑者は10日後に中国湖南省で逮捕された。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  アジア有数の観光デスティネーションの マカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働…
  2.  マカオ治安警察局は5月6日、同月2日に他人名義の中国パスポートを使ってマカオ入境を企図した20代…
  3.  独特の食文化を有するマカオは2017年に「ユネスコ食文化創造都市」に認定された。以降、マカオ政府…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)と治安警察局は5月6日、マカオにとって第一、第二の旅客ソースにあたる…
  5.  香港特別行政区政府の報道官は5月6日、中国本土で大型連休となる五・一(労働節)ゴールデンウィーク…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun