W杯がマカオのカジノ売上にマイナス影響か

W杯ブラジル大会が開幕し、中国でも大きな注目を集めている。そんな中、複数の投資銀行筋が今月(2014年6月)のマカオのカジノ売上へのマイナス影響を指摘している。現時点での1日平均カジノ売上は前月比で減少となっており、月間でも前年同月を下回る見通しとされる。

2014年6月25日付地元有力紙「澳門日報」が伝えた。メリルリンチでは、6月のマカオのカジノ売上では第2週の売上が減少し、1日平均8.76億パタカ(日本円換算:約111.68億円)とし、月間で272〜300億パタカ(約3,468〜3,825億円)程度と推計。

マカオ政府統計局の発表では5月にマカオを訪れた域外からの観光客数が7.8%増の253万人となり、うち170万人が中国本土旅客、50万人が香港旅客。中国本土旅客は前年同月比14%増となり、旅客総数の67%を占めた。しかし、メリル社では人数の伸びが直接カジノ売上につながるわけではなく、あくまでもギャンブラーそのものの資質に帰するとしている。また、日本のカジノ合法化が現実味を帯び、マカオ政府が7月1日から中国本土旅客の入境について一部制限を加えることについては、ほとんど影響はないとの見方。

バークレイズのレポートでは、今年6月の現在までの1日平均カジノテーブル売上を8.45億パタカ(約108億円)とし、前月の9.7億パタカ(約124億円)から減少しているとした。その理由として、W杯開催によるVIPカジノ顧客の減少を挙げている。同レポートでは今月のマカオの月間カジノ売上を前年同月比5%減の260億パタカ(約3,315億円)としている。しかしながら、ここ最近弱含みのマカオのカジノ関連株の株価について、来年の企業価値がEBITDA比11倍を超えるとの予想から、非常に魅力的との見方。

シティはW杯による影響が予想より大きくなりそうとし、月間カジノ売上の予想を285億パタカ(約3,634億円)から270億パタカ(約3,442億円)へ引き下げた。前年同月比5%減、すなわち2009年以降で初の前年比下落に転じるだろうとみる。

中国代表チームは2002年の日韓大会以降W杯に出場できていないが、今回のブラジル大会もたいへん大きな注目を集める国民的人気イベントとなっている。

マカオのカジノ(写真はイメージ)―本誌撮影

マカオのカジノ(写真はイメージ)―本誌撮影

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