マカオ当局、衛星カジノ閉鎖で影響受ける従業員の処遇を注視

 マカオ政府が6月9日に開いた特別会見において、マカオのいわゆる「衛星カジノ」が年末までにクローズすることが発表され、経済や雇用への影響に大きな注目が集まっている。

 衛星カジノとは、マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ事業者の所有ではない物件内(主にマカオ半島新口岸地区の中小規模のホテル内)にあり、フランチャイズのような契約形態で運営されるカジノ施設を指す。

 年末までにクローズとなる衛星カジノは全11軒※(これに加えてスロット専門カジノ「モカクラブ」6店のうち3店)で、マカオ政府は関連事業者に対し、影響を受けるマカオローカルの従業員に対して適切に処遇するよう要求したことも明らかにされた。(※11軒のうち2軒は直営方式に転換することで今セッション事業者が継続意向を示している)

 マカオ政府労工事務局(DSAL)が9日の会見で発表した内容によれば、現在の衛星カジノの総従業員数は約6000人で、マカオローカルは約5600人(コンセッション事業者が雇用し各衛星カジノ施設へ派遣している約4800人と衛星カジノが直接雇用する約800人)、モカクラブは総従業員数が約350人、このうちローカル約300人とのこと。

 DSALは6月23日、衛星カジノの年内クローズが明らかとなった同月9日以降、コンセッション事業者による衛星カジノのローカル従業員の過渡処遇に監督を継続するとともに、影響を受ける施設の巡回を通じての従業員と接触やコンセッション事業者に従業員向けの説明会の開催を求めるなど、様々な措置を講じていることを発表。

 20日までに従業員向けの説明会が52回開催され、接触したローカル従業員の数は4812人で、内訳はコンセッション事業者が雇用し各衛星カジノ施設へ派遣している4457人と衛星カジノが直接雇用する355人。全体に占める割合は前者が93%、後者が43%。前者については、休暇中の従業員と未接触、後者は依然として事業者から適切な接触機会の提供が得られていない状況があるとし、引き続き過渡処遇の状況を注視し、従業員の労働権益に不利益が生じないよう確保していく考えを示した。

 このほか、マカオのカジノ経営コンセッション事業者は6社あるが、このうち3社(衛星カジノに絡まない事業者も含む)が衛星カジノのクローズに対応したジョブフェアを18日までに7回開催したとのこと。マーケティング・セールス、カスタマーサービス、料飲、施設管理といった様々な職種とのマッチング機会を提供し、432人が参加したという。

コンセッション事業者による衛星カジノ従業員向けの説明会の様子(写真:DSAL)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある複合リゾート「リスボエタマカオ(澳門葡京人)」の運営会社は7月8日、館内…
  2.  マカオ治安警察局は7月8日、同日午前11時にマカオの(2025年)年初来累計の入境インバウンド旅…
  3.  マカオ政観(マカオ政府旅遊局/MGTO)は7月8日、同月11日から20日まで、マカオ半島東側のエ…
  4.  マカオ治安警察局は7月7日、マカオ半島北区に所在するビルの一室について、違法宿泊提供の疑いで摘発…
  5.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのパールロビーで7月4日、マカオ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  3.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  5.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…

イベントカレンダー

7月 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31    
« 6月   8月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年7月号
(vol.145)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun