銀聯カード端末の不正使用で出張キャッシングサービス集団御用—マカオ

マカオ司法警察局は9月5日、中国本土の銀聯カード読み取り端末と約120万香港ドル(日本円換算:約1,627万円)の現金をマカオへ持ち込み、コタイ地区のカジノホテル内の一室で違法な「出張キャッシングサービス」を行っていた中国本土出身者4人とマカオ居民2名を逮捕、送検したことを発表した。マカオ居民のうち1名は公務員だったという。

通常、銀聯カードは中国本土とマカオでは違った読み取り端末を使用している。違法キャッシング集団は中国本土用の機械をマカオへ持ち込み、モバイルインターネット環境から中国本土のシステムへ接続していた。集団はマカオのカジノや宝飾店周辺で客を物色し、客らのカードを使って決済を行った後、持ち込んでいた現金から払い出しを行っていた。マカオ用の端末からキャッシングを行う場合、金額に対して1.4%の手数料がかかるが、中国本土の端末を使えば1回あたり26人民元となることから、その差額を搾取していたもの。

この集団は今年3月以降、790回にわたって決済を行っていた。決済総額は1億4千万香港ドル(約18.98億円)以上で、銀聯の損失は30万香港ドル(約407万円)近くになるという。

逮捕された集団メンバーは中国本土の福建省出身の20〜30代の男子が4名、マカオ居民の30歳のレストランマネジャーと、28歳の公務員の6名。首謀者は逃走中で、司法警察局が行方を追っている。なお、マカオ公務員の男は月額1万香港ドルの報酬で客引き役を行っていたという。

事件発覚の経緯は、客として部屋に招き入れた男3名が、突然刃物を出して脅し、布袋と縄で部屋にいたキャッシング集団のメンバー2人を縛り上げた後、現金120万香港ドルを奪って逃走。その後、警察に通報をしたことから、現場に司法警察が駆けつけ、自らの犯罪が露見する結果となってしまった。

中国本土で広く普及する銀聯(右下)と二大国際ブランドのカード(資料)—本紙撮影

中国本土で広く普及する銀聯(右下)と二大国際ブランドのカード(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ金融管理局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)のマカオ国際性銀行業務統計を公…
  2.  このほどマカオ政府財政局(DSF)が公表した最新統計によれば、今年(2024年)4月の住宅売買・…
  3.  マカオ政府とコンセッション(カジノ経営権契約)を結ぶ6陣営の一角にあたるサンズチャイナは5月16…
  4.  澳門海關(マカオ税関)は5月15日、各イミグレーション施設で税関検査の強化を図るとともに、香港税…
  5.  マカオの統合型リゾート(IR)運営6陣営の一角にあたるサンズチャイナは5月15日、コタイ地区にあ…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun