マカオの新婚さんの4分の1強が中国本土出身の伴侶と=5年でおよそ1.8倍に

マカオと中国本土の交流が一層密接になる中、マカオでは中国本土出身の伴侶と結婚する例が増えている。2013年のマカオの婚姻登録総数4153件のうち、夫または妻が中国本土出身者という割合は、全体の26.5%を占める1102件に上った。

マカオにおける中国本土出身の伴侶と婚姻は、2008年には626件あり、全体に占める割合は22.5%だった。5年間で、件数はおよそ1.8倍に増え、割合は4ポイント上昇した。

マカオは中国本土の広東省珠海市と陸続きの位置にあり、昨年(2014年)12月18日から、両地の間で24時間通関化が実現。中国本土からマカオに出稼ぎにくる労働者の数も増加の一途、ビジネスやレジャー目的で中国本土を訪れるマカオ人も増えている。今後、マカオと中国本土の間の交流はより一層進むとみられることから、一方の伴侶を中国本土出身者とするマカオのカップルが増えることも予想される。

一方で、マカオにおける中国本土出身者との婚姻は、なかなかスムーズに行かないことも多いようだ。まず、言葉の問題。マカオの公用語は中国語とポルトガル語だが、中華系住民の間では主に中国語の方言の1つである広東語が使われている。また、文字についても繁体字を使っており、中国本土のいわゆる北京語、簡体字という組み合わせとは異なる。最近では、北京語も通用するようになっているものの、ストレスなくマカオの生活に溶け込むためには、広東語の理解が必要なようだ。

もう1つ、大きな壁が立ちはだかるという。中国本土では、依然として移動に関する制限が多い。マカオの伴侶と結婚し、マカオで生活する場合にも、まず「単程証」と呼ばれる出国許可(この場合は、移住用の「片道切符」に相当するもの)を取得した上、さらに、マカオ側で居留許可獲得のための申請をする必要がある。「単程証」については、申請から実際に発給されるまでの期間がまちまちで、長い人では数年かかる場合もあるという。例えば、マカオの男性が中国本土出身の女性と結婚した場合、先行して申請した妻の単程証よりも、後から申請した夫婦の間にできた子供のものが早く発給されるといったこともあるようだ。家族全員がマカオの同じ屋根の下で暮らすまでに長い時間がかかり、親子バラバラで暮らさざるを得ないという状況も多いようだ。同様の問題は、香港でも発生しているという。

マカオ治安警察局の資料によると、2000年9月から2014年9月までの間に単程証を持って中国本土からマカオへ移民した数は6万811人おり、このうち婚姻による夫婦同居名義が2万8702人、父母呼び寄せが2万8508人、子女が976人となっている。

なお、マカオ居留権を獲得するための偽装結婚事案も少なからず存在するといい、当局による取り締まり強化が期待される。

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