北朝鮮のカジノに勤務、マカオ人従業員が現地で自殺=両親は原因究明希望

マカオのポルトガル語日刊紙「Hoje Macau(オージェマカオ)」が7月29日付電子版で報じた内容によると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・平壌の羊角島(ヤンガクド)ホテル内にあるカジノ施設「平壌娯楽場(カジノピョンヤン)」に勤務するマカオ人従業員のレイ・フーウィンさん(29)が今年6月、現地で自殺とされる謎の死を遂げたという。

平壌娯楽場はマカオの大手カジノ運営企業SJMの投資先にあたる。

レイさんの父親によると、今年5月31日に息子からインスタントメッセンジャーアプリを通じて連絡があり「金銭トラブルで脅迫を受けている。カジノ担当者からマカオの銀行口座を凍結する必要があると指摘されたが、身に覚えがない」とのメッセージが書かれていたという。また、レイさんの同僚は「息子さんへの暴力は常態化していた」とレイさんの母親に伝えたとのこと。翌日、レイさんの両親は、息子がゲーミング(カジノ)チップを盗んだことを理由に解雇されたとの情報を受けたが、両親及び親族は「そんなことはありえない」と不信感を募らせたという。

その後、両親は息子に連絡を取ろうと試みたが、息子がネット接続しておらず、返信を得ることができなかったそうだ。5日が経過した後、カジノの担当者から連絡があり、レイさんがマカオに戻ると知らされた。しかし、その数時間後に再び連絡があり、レイさんが自殺したと告げたという。平壌の病院の検死報告書によると、レイさんは全身に複数の骨折があったとされた。家族は「今回の事件は謎に満ちている」として、レイさんの死を受け入れられられない状況とのこと。

カジノ側は弁護士を通じて両親に現地での火葬を求めたというが、両親は現地に赴き、遺体をマカオへ搬送することを希望した。その後、母親らが平壌を訪れ、17日間滞在したが、滞在中はパスポートと携帯電話を没収された上、レイさんの同僚との面会は許可されず、遺品が返還されることもなかったとのこと。

現在、マカオの政治家を通じて遺体の搬送手続きを進めているという。

両親によると、レイさんはマカオでヌードルレストランを開業するのが夢だったといい、開業資金を貯めるために北朝鮮での仕事を選んだとのこと。

北朝鮮でマカオ人カジノ従業員が自殺とされる謎の死を遂げた事件に関するマカオのポルトガル語日刊紙の報道(「Hoje Macau」ウェブサイトより)

北朝鮮でマカオ人カジノ従業員が自殺とされる謎の死を遂げた事件に関するマカオのポルトガル語日刊紙の報道(「Hoje Macau」ウェブサイトより)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun