深刻化するマカオのバス混雑=運転士不足で増発できず、平均年齢50歳超

現在、マカオには大量輸送を可能にする軌道系交通機関が存在せず、市民や旅客の足となるのが路線バスとタクシーだ。近年の居住人口及び旅客の増を受け、路線バスの混雑、タクシー供給不足が社会問題となっている。

マカオの人口は約64万人、訪マカオ旅客数は年間約3150万人となっている。いずれも右肩上がりで増長を続けている。2008年に約30万人だったマカオの路線バス利用者は増加を続け、昨年(2014年)には50万人を超えたという。一部の路線ではラッシュ時には乗客の積み残しが発生するなどしている状況で、市民の間から増発や路線の拡充を求める声が上がっている。

マカオ政府運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官は8月11日、マカオ立法会の答弁において、マカオの路線バスが抱える最大の問題として運転士の人材不足を挙げ、約1100人の運転士の平均年齢が50歳を超えているとした。当局では、路線バスの増発や路線拡充を計画しているものの、運転士不足を理由に実現できていないことを明らかにした。

なお、供給不足のタクシーについては、ぼったくりや乗車拒否などが横行している現状もあり、市民や旅客の間で不満が高まっている。警察及び交通当局が取り締まりを強化して対応にあたっているものの、収束には至っていない。

目下、マカオの公共交通問題解決の切り札として新交通システム(マカオLRT)の建設プロジェクトが進んでいるが、工事の遅延により開業は数年先の予定となっている。

混雑が深刻化しているマカオの路線バス(資料)=プラサ・フェレイラ・アマラル・バスターミナル—本紙撮影

混雑が深刻化しているマカオの路線バス(資料)=プラサ・フェレイラ・アマラル・バスターミナル—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は9月9日、同局の本部について、同月から段階的にタイパ島北安地区の新本部ビルへ移…
  2.  マカオ招商投資促進局(IPIM)は9月8日、同局と国際熱帯木材機関(ITTO)の主催による「グロ…
  3.  マカオ司法警察局は9月7日、非マカオ籍の男性ギャンブラーへ賭博用途のカネを高利で貸し付けた上、返…
  4.  マカオでは、台風11号(国際名「ヤギ」)の接近による影響で、9月5日午後10時から6日午後2時ま…
  5.  マカオでは、9月5日から6日かけて超大型の台風11号(国際名「ヤギ」)が接近し、激しい風雨に見舞…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun